再発多発性骨髄腫に対するボルテゾミブと高用量デキサメタゾンとの比較
Bortezomib or High-Dose Dexamethasone for Relapsed Multiple Myeloma
P.G. Richardson and Others
再発多発性骨髄腫患者でこれまでに 1~3 回治療を受けたことのある患者を対象に,ボルテゾミブ(bortezomib)と高用量デキサメタゾンを比較した.
骨髄腫が再発した患者 669 例を,ボルテゾミブを 1,4,8,11 日目に静脈内ボーラス投与(1.3 mg/m2 体表面積)する 3 週間のサイクルを 8 回行ったのち,ボルテゾミブを 1,8,15,22 日目に投与する 5 週間のサイクルを 3 回行う群と,高用量デキサメタゾン(40 mg 経口投与)を 1~4 日目,9~12 日目,17~20 日目に投与する 5 週間のサイクルを 4 回行ったのち,高用量デキサメタゾンを 1~4 日目に投与する 4 週間のサイクルを 5 回行う群のいずれかに無作為に割付けた.デキサメタゾン投与に割付けられた患者については,疾患の進行後,並行試験において,クロスオーバー法でボルテゾミブを投与することが認められた.
ボルテゾミブで治療を受けた患者は,デキサメタゾンで治療を受けた患者よりも奏効率が高く,進行までの時間(主要エンドポイント)や生存期間も長かった.完全奏効率と部分奏効率を合せた割合は,ボルテゾミブ群で 38%,デキサメタゾン群で 18%(P<0.001),完全奏効率は,ボルテゾミブ群で 6%,デキサメタゾン群で 1%未満であった(P<0.001).進行までの時間の中央値は,ボルテゾミブ群で 6.22 ヵ月(189 日),デキサメタゾン群で 3.49 ヵ月(106 日)であった(ハザード比 0.55,P<0.001).1 年生存率は,ボルテゾミブ群で 80%,デキサメタゾン群で 66%であり(P=0.003),ボルテゾミブの全生存率に対するハザード比は 0.57 であった(P=0.001).グレード 3 または 4 の有害事象は,ボルテゾミブで治療を受けた患者の 75%と,デキサメタゾンで治療を受けた患者の 60%で報告された.
ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.