α4β7 インテグリンに対するヒト化抗体による潰瘍性大腸炎の治療
Treatment of Ulcerative Colitis with a Humanized Antibody to the α4β7 Integrin
B.G. Feagan and Others
腸管において白血球と血管内皮細胞との相互作用を選択的に阻害することは,炎症性腸疾患治療に対する有望な戦略である.
活動性潰瘍性大腸炎の患者を対象に,MLN02 の多施設共同二重盲検プラセボ対照試験を実施した.MLN02 は α4β7 インテグリンに対するヒト化抗体である.患者 181 例を,0.5 mg/kg 体重の MLN02,2.0 mg/kg 体重の MLN02,外観が同一のプラセボのいずれかを,初日および 29 日目に静脈内投与する群に無作為に割付けた.適格患者は,同時にメサラミン(mesalamine)の投与を受けたか,あるいは大腸炎に対するほかの治療は何も受けなかった.潰瘍性大腸炎の臨床スコアと S 状結腸鏡検査により,無作為化から 6 週間後に評価を行った.
6 週の時点で臨床的に寛解が得られた割合は,MLN02 0.5 mg/kg 投与群,2.0 mg/kg 投与群,プラセボ投与群で,それぞれ 33%,32%,14%であった(P=0.03).潰瘍性大腸炎の臨床スコアが 3 ポイント以上改善した患者の割合は,それぞれ 66%,53%,33%であった(P=0.002).内視鏡検査で明らかな寛解を示したのは,0.5 mg/kg 投与群の 28%と 2.0 mg/kg 投与群の 12%で,これに対しプラセボ投与群では 8%であった(P=0.007).MLN02 抗体価が 1:125 よりも上昇している少数の患者では,血中のリンパ球上の α4β7 インテグリン受容体への結合が不十分であることが観察され,治療が有効でないことが確認された.
この短期間の試験で,MLN02 は,活動性潰瘍性大腸炎患者の臨床的寛解および内視鏡的寛解の誘導に関してプラセボよりも有効であった.