非小細胞肺癌切除例におけるビノレルビン+シスプラチンと経過観察の比較
Vinorelbine plus Cisplatin vs. Observation in Resected Non-Small-Cell Lung Cancer
T. Winton and Others
早期非小細胞肺癌を完全切除した患者において,ビノレルビン+シスプラチンを用いた補助化学療法により,全生存期間が延長するかどうかを検討するための試験を実施した.
IB 期あるいは II 期の非小細胞肺癌で,完全切除できた患者を,ビノレルビン+シスプラチンを投与する群または経過観察群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは全生存期間とし,主な副次的エンドポイントは,無再発生存期間とレジメンの毒性および安全性とした.
計 482 例の患者を,ビノレルビン+シスプラチン群(242 例)と経過観察群(240 例)に無作為に割付けた.これらの患者のうち,45%は病期が IB 期で,55%は II 期であった.また,全例が米国東部癌共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group ; ECOG)の全身状態(PS)が 0 または 1 であった.両群とも,年齢の中央値は 61 歳,65%が男性,53%が腺癌であった.化学療法により,患者の 88%が好中球減少をきたし(7%はグレード 3 の発熱性好中球減少症),2 例(0.8%)が毒性により死亡した.化学療法の非血液毒性は,倦怠感(81%),悪心(80%),食欲不振(55%),嘔吐(48%),神経障害(48%),便秘(47%)であったが,重篤な毒性(グレード 3 以上)はまれであった(10%未満).全生存期間は,化学療法群で経過観察群と比較して有意に延長し(94 ヵ月 対 73 ヵ月,死亡のハザード比 0.69,P=0.04),無再発生存期間についても同様であった(not reached 対 46.7 ヵ月,再発のハザード比 0.60,P<0.001).5 年生存率はそれぞれ 69%と 54%であった(P=0.03).
ビノレルビン+シスプラチンを用いた補助化学療法は,早期非小細胞肺癌を完全切除した患者において,毒性は許容レベルであり,無病生存期間および全生存期間を延長させる.