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September 15, 2005 Vol. 353 No. 11

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多発性内分泌腫瘍症 2A 型に対する予防的甲状腺切除術
Prophylactic Thyroidectomy in Multiple Endocrine Neoplasia

M.A. Skinner and Others

背景

甲状腺髄様癌は,多発性内分泌腫瘍症(MEN)の 2A 型(MEN-2A),2B 型,あるいは家族性甲状腺髄様癌の患者の死因としてもっとも多い. RET 癌原遺伝子の変異対立遺伝子をもつ MEN-2A 患者の家系の,無症状の若年者に甲状腺全摘術を施行することで,甲状腺髄様癌を予防または治癒できるかどうかを検討した.

方 法

MEN-2A に特徴的な RET 変異キャリアであることが遺伝子スクリーニングプログラムを通して同定された 19 歳以下の連続した患者計 50 例を対象に,甲状腺全摘術を施行した.手術から 5~10 年後に,身体診察と誘発物質で刺激後の血清カルシトニン値の測定により,各患者を評価した.

結 果

ベースラインおよび刺激後の血清カルシトニン値は,50 例中 44 例では検査の検出限界値以下であり(割合 0.88,95%信頼区間 0.76~0.95),2 例では正常範囲を超えていた.4 例では,刺激後にカルシトニン値が上昇したが正常範囲内であった.今回のデータから,8 歳になる前に甲状腺全摘術を受けた小児と頸部リンパ節転移のなかった小児で,持続性もしくは再発性の甲状腺髄様癌の発生率がより低かったことが示唆される.

結 論

この試験において,直接 DNA 解析で MEN-2A に特異的な RET 変異キャリアであることが同定された若年患者では,甲状腺全摘術後 5 年以上経っても,甲状腺髄様癌の持続または再発を示す徴候はみられなかった.これらの患者が治癒していることを確認するためには,より長期的な評価が必要であると考えられる.

(M.A. Skinner, and others)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1105 - 13. )