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September 22, 2005 Vol. 353 No. 12

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前立腺癌における自己抗体サイン
Autoantibody Signatures in Prostate Cancer

X. Wang and Others

背景

自己抗体サインのような新しいバイオマーカーにより,前立腺癌の早期発見がすすむ可能性がある.

方 法

前立腺癌組織から得られたファージディスプレイライブラリーを用いてファージ蛋白マイクロアレイを作成し,前立腺癌患者 119 例と対照者 138 例から採取した血清標本の解析に使用した.血清標本はトレーニングセットと検証セットに等分した.トレーニングセットから構築したファージペプチドの検出指標を,128 の血清標本から成る独立した検証セットで評価した(前立腺癌患者 60 標本,対照者 68 標本).

結 果

22 のファージペプチド検出指標は,前立腺癌群と対照群の識別において,特異度 88.2%(95%信頼区間 0.78~0.95),感度 81.6%(95%信頼区間 0.70~0.90)であった.このペプチドパネルは,前立腺癌患者群と対照群を識別するうえで前立腺特異抗原(PSA)よりも優れていた(自己抗体サインの曲線下面積 0.93,95%信頼区間 0.88~0.97;PSA の曲線下面積 0.80,95%信頼区間 0.71~0.88).ロジスティック回帰分析から,ファージペプチドパネルには,PSA のような単独のバイオマーカーを上回る識別能力があることが明らかとなった(P<0.001).検出指標として用いた 22 のファージペプチドのうち,4 つはコード配列に相当する部分にインフレームで対応する配列に由来していた.残りのファージペプチドは非翻訳配列に由来していた.

結 論

前立腺癌組織由来のペプチドに対する自己抗体は,前立腺癌に対するスクリーニング検査の基盤として利用できる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1224 - 35. )