September 22, 2005 Vol. 353 No. 12
早期梅毒の治療におけるアジスロマイシンとペニシリン G ベンザチンの単回投与の比較
Single-Dose Azithromycin versus Penicillin G Benzathine for the Treatment of Early Syphilis
G. Riedner and Others
予備的研究から,アジスロマイシン 2 g の単回経口投与は,梅毒の予防と治療においてペニシリン G ベンザチン 240 万単位(2.4 MU)の筋肉内注射に代る治療法となる可能性が示唆されている.発展途上国において,アジスロマイシン投与の有効性を評価した.
タンザニア,ムベヤの高リスク集団のスクリーニングを通じて登録した,第 1 期梅毒 25 例と,高ウイルス量(迅速血漿レアギン [RPR] 検査において少なくともウイルス量が 1:8)の潜伏梅毒 303 例とから成る計 328 例の患者を,アジスロマイシン 2 g の経口投与(163 例)とペニシリン G ベンザチン 240 万単位の筋肉内注射(165 例)のいずれかに無作為に割付けた.主要転帰は治療効果とし,血清学的に定義される治癒(治療後 9 ヵ月までに RPR ウイルス量が少なくとも 1/4 に減少),または,早期梅毒では 1~2 週間以内の潰瘍の上皮化で定義される治癒とした.
被験者の平均年齢は 27.0 歳で,235 例(71.6%)が女性であり,171 例(52.1%)がヒト免疫不全ウイルス血清陽性であった.治癒率は,アジスロマイシン群で 97.7%(95%信頼区間 94.0~99.4%),ペニシリン G ベンザチン群で 95.0%(95%信頼区間 90.6~97.8%)であり(差の 95%信頼区間 -1.7~7.1%),これは事前に規定した同等性の基準を満たしていた.治癒率は,治療後 3 ヵ月,6 ヵ月の時点でも,2 群間および全サブグループ間で類似していた.治癒率は,3 ヵ月の時点では,アジスロマイシン群で 59.4%(95%信頼区間 51.8~67.1%),ペニシリン G ベンザチン群で 59.5%(95%信頼区間 51.8~67.3%)であり,6 ヵ月の時点では,それぞれ 85.5%(95%信頼区間 79.4~90.6%),81.5%(95%信頼区間 74.8~87.4%)であった.
アジスロマイシンの単回経口投与は,梅毒の治療において有効であり,ペニシリン G ベンザチンの注射がむずかしい発展途上国でとくに有用である可能性がある.しかし,最近,米国でアジスロマイシンに耐性をもつ Treponema pallidum が報告されたことから,耐性の継続的な監視の重要性が示唆される.