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July 14, 2005 Vol. 353 No. 2

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肺癌に対するエルロチニブ ― 分子的および臨床的予後予測因子
Erlotinib in Lung Cancer - Molecular and Clinical Predictors of Outcome

M.-S. Tsao and Others

背景

非小細胞肺癌においてエルロチニブ(erlotinib)とプラセボを比較した臨床試験で,エルロチニブの生存上の利益が示された.この試験の参加者から採取した腫瘍生検検体を用いて,エルロチニブに対する反応性と生存に対するエルロチニブの効果が,腫瘍の上皮成長因子受容体(EGFR)の発現,EGFR 遺伝子の増幅,および EGFR 遺伝子の変異に関連しているかどうかを検討した.

方 法

試験に参加した患者 731 例中 325 例から非小細胞肺癌標本を採取し,EGFR 発現について免疫組織化学的に評価を行った.197 検体は EGFR 変異について解析し,221 検体は EGFR 遺伝子数について解析した.

結 果

単変量解析において,エルロチニブ群でプラセボ群よりも生存期間が延長したのは,EGFR が発現している場合(死亡に対するハザード比 0.68,P=0.02),または EGFR のコピー数が多い場合(ハザード比 0.44,P=0.008)であった.多変量解析では,腺癌(P=0.01),喫煙歴がないこと(P<0.001),EGFR 発現(P=0.03)が,客観的反応と関連していた.多変量解析では,エルロチニブによる治療後の生存は,EGFR の発現状態,EGFR コピー数,EGFR 変異のいずれの影響も受けなかった.

結 論

エルロチニブ投与を受けた非小細胞肺癌患者では,EGFR 変異がある場合,エルロチニブに対する反応が亢進する可能性があるが,これは生存上の利益を示すものではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 133 - 44. )