The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

October 20, 2005 Vol. 353 No. 16

HER2 陽性乳癌に対する補助療法後のトラスツズマブ
Trastuzumab after Adjuvant Chemotherapy in HER2-Positive Breast Cancer

M.J. Piccart-Gebhart and Others

背景

トラスツズマブ(trastuzumab)は,HER2 に対するリコンビナントモノクローナル抗体であり,HER2 を過剰発現する進行乳癌に臨床活性を示す.早期乳癌の切除および化学療法終了後に行う,トラスツズマブ投与の有効性と安全性について検討した.

方 法

今回の国際的な多施設共同無作為試験では,リンパ節転移が陰性または陽性の HER2 陽性乳癌患者で,局所治療ならびに最低 4 サイクルのネオアジュバント化学療法あるいは補助化学療法を終了した患者を対象とし,1 年ないし 2 年にわたる 3 週間ごとのトラスツズマブ投与と経過観察とを比較した.

結 果

2 年間のトラスツズマブ治療に無作為に割付けられた女性 1,694 例,1 年間のトラスツズマブ治療に割付けられた女性 1,694 例,経過観察に割付けられた女性 1,693 例からデータを得た.本論文では,1 年間のトラスツズマブ治療と経過観察の結果のみを報告する.予定していた最初の中間解析(追跡期間の中央値 1 年)では,347 件のイベント(乳癌の再発,対側乳癌,乳房以外の悪性疾患,死亡)がみられた.うち 127 件はトラスツズマブ群,220 件は観察群であった.観察群と比較したトラスツズマブ群のイベントに対する未補正ハザード比は 0.54(95%信頼区間 0.43~0.67;log-rank 検定で P<0.0001,中間解析の有意差水準を超過)で,2 年の時点での無病生存率の絶対的な利益は 8.4 パーセントポイントに相当した.全生存率について 2 群間に有意差はみられなかった(死亡はトラスツズマブ群で 29 例,観察群で 37 例).重度の心毒性はトラスツズマブ群の 0.5%に発現した.

結 論

補助療法後 1 年間にわたるトラスツズマブ治療は,HER2 陽性乳癌女性の無病生存を有意に改善する.(clinicaltrials.gov 識別番号:NCT 00045032)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1659 - 72. )