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October 20, 2005 Vol. 353 No. 16

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急性肺損傷の発生率と転帰
Incidence and Outcomes of Acute Lung Injury

G.D. Rubenfeld and Others

背景

急性肺損傷は,左心房の高血圧に起因しない両側性肺浸潤を伴い,急性低酸素性呼吸不全をきたす重篤な症候群である.近年,急性肺損傷の発症機序や治療法の理解がすすんだにもかかわらず,米国での発生率や転帰については明らかにされていない.

方 法

1999 年 4 月~2000 年 7 月に,ワシントン州キング郡とその周辺にある 21 ヵ所の病院で,住民ベースの前向きコホート研究を行った.妥当性を検証したスクリーニング・プロトコルを用いて,急性肺損傷の合意基準を満たす患者を同定した.

結 果

機械的人工呼吸を受けている 15 歳以上のキング郡在住者で,急性肺損傷の基準を満たしていたのは計 1,113 例であった.この数値に基づくと,未補正の急性肺損傷発生率は 10 万人‐年当り 78.9 例で,年齢補正後の発生率は 10 万人‐年当り 86.2 例であった.院内死亡率は 38.5%であった.急性肺損傷の発生率は,15~19 歳で 10 万人‐年当り 16 例,75~84 歳で 10 万人‐年当り 306 例と,年齢と共に上昇した.死亡率は,15~19 歳で 24%,85 歳以上で 60%と,年齢と共に上昇した(P<0.001).米国では,急性肺損傷が毎年 190,600 例発生し,これによる死亡数は 74,500 例,入院日数は 360 万日にのぼると推定される.

結 論

急性肺損傷は公衆衛生に大きな影響を与え,米国での発生率は,これまでの報告で示唆された数値を大幅に上回る.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1685 - 93. )