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October 27, 2005 Vol. 353 No. 17

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慢性リンパ性白血病の予後および進行に関連する microRNA シグニチャー
A MicroRNA Signature Associated with Prognosis and Progression in Chronic Lymphocytic Leukemia

G.A. Calin and Others

背景

microRNA 発現プロファイルは,慢性リンパ性白血病(CLL)患者において,正常 B 細胞と悪性 B 細胞の識別に用いることができる.microRNA プロファイルが,CLL における既知の予後予測因子と関連しているかどうかを検討した.

方 法

CLL 細胞 94 検体について microRNA 発現プロファイルを評価した.CLL 細胞は,70-kD ゼータ関連蛋白(ZAP-70)の発現レベル,再編成された免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子の変異状態,診断から初回治療までの時間が明らかなものを使用した.また,異常を確認するために,42 個の microRNA 遺伝子のゲノム配列を検討した.

結 果

解析した 190 個の遺伝子のうち 13 個の遺伝子で構成される特異な microRNA 発現シグニチャーにより,CLL で ZAP-70 の発現量が低い症例と高い症例,ならびに IgVH に変異がない症例とある症例が識別できた.同じ microRNA シグニチャーは,疾患の進行の有無とも関連していた.また,miR-16-1-miR-15a の一次前駆体に生殖細胞変異が同定された.この変異により in vitro および in vitro において microRNA の発現量が低くなり,また,この変異は正常対立遺伝子の欠失と関連していた.CLL 患者 75 例中 11 例で 42 個の microRNA 配列が決定され,そのうち 5 個に生殖細胞変異または体細胞変異が認められたが,癌のない被験者 160 例ではそのような変異は認められなかった(P<0.001).

結 論

特異な microRNA シグニチャーは,CLL の予後予測因子および疾患進行と関連している.microRNA 転写産物の変異は頻度が高く,機能的な重要性をもつ可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1793 - 801. )