November 17, 2005 Vol. 353 No. 20
肥満に対する生活習慣の変更と薬物療法に関する無作為試験
Randomized Trial of Lifestyle Modification and Pharmacotherapy for Obesity
T.A. Wadden and Others
減量薬は,食事・運動・行動療法による総合的なプログラムの補助として使用することが推奨されているが,概して処方時に生活習慣の変更に関する指導はなされていないか,されても最低限のものである.このような状況から,治療の有効性が制限されている可能性がある.
この試験は,肥満成人 224 例を以下の 4 群に無作為に割付け,1 年間行った.4 つの割付け群は,1 回 10~15 分,計 8 回の診察時にプライマリケア医が処方するシブトラミン(sibutramine)15 mg/日のみを服用する群;30 回のグループセッションで生活習慣の変更に関するカウンセリングのみを受ける群;シブトラミンの服用に加え,30 回のグループセッションで生活習慣の変更に関するカウンセリングを受ける群(併用療法群);シブトラミンの服用に加え,1 回 10~15 分,計 8 回の診察時にプライマリケア医から生活習慣の変更に関する簡単なカウンセリングを受ける群とした.全被験者に,1 日当り 1,200~1,500 kcal の食事と,同じ運動療法を指導した.
1 年間で減少した体重は,併用療法群で平均(±SD)12.1±9.8 kg,シブトラミン投与のみの群で 5.0±7.4 kg,生活習慣の変更のみの群で 6.7±7.9 kg,シブトラミン+簡易指導群で 7.5±8.0 kg であった(P<0.001).併用療法群のうち,食物摂取を記録した頻度が高い人は,記録頻度の低い人に比べて体重の減少が大きかった(18.1±9.8 kg 対 7.7±7.5 kg,P=0.04).
薬物療法と生活習慣の変更に関するグループセッションを併用すると,それぞれを単独で行った場合よりも体重の減少が大きかった.この結果は,減量薬を,生活習慣の変更に関するカウンセリングの代りにではなく,カウンセリングと併せて処方することの重要性を強調するものである.