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November 24, 2005 Vol. 353 No. 21

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ループス腎炎に対するミコフェノール酸モフェチルとシクロホスファミド静脈内投与の比較
Mycophenolate Mofetil or Intravenous Cyclophosphamide for Lupus Nephritis

E.M. Ginzler and Others

背景

事例報告や小規模な前向き対照試験から,ミコフェノール酸モフェチルがループス腎炎の治療に有効である可能性が示唆されるため,より大規模な試験の実施が望まれている.

方 法

24 週間の無作為非盲検非劣性試験を行い,活動性ループス腎炎に対する寛解導入療法として,ミコフェノール酸モフェチルの経口投与(初回投与量を 1,000 mg/日とし,3,000 mg/日まで増量)と,月 1 回のシクロホスファミドの静脈内投与(初回投与量 0.5 g/m2 体表面積,1.0 g/m2 まで増量)を比較した.早期に反応がみられなかった患者には,12 週の時点で代替レジメンへの変更を認めた.試験プロトコールには,補助的ケアと,コルチコステロイドの使用および漸減についての規定を定めた.主要エンドポイントは,24 週の時点での完全寛解(異常な腎検査値の正常化ならびにベースライン時に正常であった検査値の維持)とし,副次的エンドポイントは 24 週の時点での部分寛解とした.

結 果

登録患者 140 例のうち,71 例をミコフェノール酸モフェチル投与に,69 例をシクロホスファミド投与に無作為に割付けた.12 週の時点で,ミコフェノール酸モフェチル投与患者 56 例とシクロホスファミド投与患者 42 例に十分な早期反応がみられた.intention-to-treat 解析では,ミコフェノール酸モフェチル群 71 例中 16 例(22.5%)とシクロホスファミド群 69 例中 4 例(5.8%)に完全寛解がみられ,絶対差は 16.7 パーセントポイント(95%信頼区間 5.6~27.9 パーセントポイント,P=0.005)であった.これは,事前に規定した非劣性の基準を満たしており,ミコフェノール酸モフェチルがシクロホスファミドよりも優れていることを示すものであった.部分寛解は,ミコフェノール酸モフェチル群の 71 例中 21 例(29.6%)とシクロホスファミド群の 69 例中 17 例(24.6%)にみられた(P=0.51).シクロホスファミド群の 3 例が死亡し,うち 2 例はプロトコールに基づいた治療中であった.ミコフェノール酸モフェチル群では,シクロホスファミド群よりも重度の感染症や入院は少なかったが,下痢を起した患者は多かった.

結 論

ループス腎炎の寛解導入において,ミコフェノール酸モフェチルはシクロホスファミドの静脈内投与よりも有効であり,安全性プロファイルも良好であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2219 - 28. )