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July 21, 2005 Vol. 353 No. 3

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血液透析を受けている 2 型糖尿病患者に対するアトルバスタチン
Atorvastatin in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus Undergoing Hemodialysis

C. Wanner and Others

背景

スタチンにより,2 型糖尿病患者の心血管イベントの発生率が減少する.しかし,血液透析を受け,心血管疾患および死亡のリスクが高い 2 型糖尿病患者に対するスタチンの効果については,これまで検討されていない.

方 法

多施設共同無作為二重盲検前向き試験を行い,維持血液透析を受けている 2 型糖尿病患者 1,255 例を,1 日 20 mg のアトルバスタチンまたはマッチさせたプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,心臓が原因の死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中から成る複合エンドポイントとした.副次的エンドポイントは,全死因死亡とすべての心イベント・脳血管イベントの複合とした.

結 果

4 週間の治療後,低比重リポ蛋白コレステロールの中央値は,アトルバスタチン群では 42%減少し,プラセボ群では 1.3%減少した.中央値で 4 年の追跡期間中に,469 例(37%)が主要エンドポイントに達し,うち 226 例はアトルバスタチン群,243 例はプラセボ群であった(相対リスク 0.92,95%信頼区間 0.77~1.10,P=0.37).アトルバスタチンは主要エンドポイントの個々の項目に対して有意な効果を示さなかったが,アトルバスタチン群では,致死性脳卒中の相対リスクが 2.03 であった(95%信頼区間 1.05~3.93,P=0.04).アトルバスタチンによって,すべての心イベントを合せた割合は減少したが(相対リスク 0.82,95%信頼区間 0.68~0.99,P=0.03,名目の有意水準で有意),すべての脳血管イベントを合せた割合(相対リスク 1.12,95%信頼区間 0.81~1.55,P=0.49)と,全死亡率(相対リスク 0.93,95%信頼区間 0.79~1.08,P=0.33)はいずれも減少しなかった.

結 論

アトルバスタチンは,血液透析を受けている糖尿病患者において,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中から成る複合主要エンドポイントに対し,統計学的に有意な効果を示さなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 238 - 48. )