December 22, 2005 Vol. 353 No. 25
医事当局による懲戒処分と医学部での行動歴
Disciplinary Action by Medical Boards and Prior Behavior in Medical School
M.A. Papadakis and Others
医学教育において,プロ意識が重要な能力評価基準であることを裏付ける証拠は少ない.この症例対照研究では,臨床医に対する懲戒処分と,医学部での自覚を欠いた行動歴との関連性を検討した.また,医学部で自覚を欠いた行動を起したことがある開業医の,懲戒処分をもっともよく予測する特定の行動について調査した.
1990~2003 年に 40 の州医事当局のうち 1 つから懲戒処分を受けた,3 校の医学部卒業生 235 人(症例医師)を対象に調査を行った.対照の 469 人の医師は,在籍した医学部および卒業年について症例医師とマッチさせた.医学部から得た予測変数は,自覚を欠いた行動に関するエピソードの有無,成績評価,共通試験の得点,人口統計的特性などであった.エピソード記録については,自覚を欠いた行動の総合的なランク付けを行った.自覚を欠いた行動の基準を満たした行動は,さらに 8 つのタイプに分類し,重大さのランク付けを行った(中等度~重度).
医事当局による懲戒処分は,医学部での自覚を欠いた行動歴と強く関連しており(オッズ比 3.0,95%信頼区間 1.9~4.8),懲戒処分に対する人口寄与危険度は 26%であった.懲戒処分にもっとも強く関連した自覚を欠いた行動のタイプは,非常に無責任であること(オッズ比 8.5,95%信頼区間 1.8~40.1)と,自己改善能力が非常に低いこと(オッズ比 3.1,95%信頼区間 1.2~8.2)であった.医事当局による懲戒処分は,医学部入学試験の得点が低いこと(人口寄与危険度 1%)および医学部での最初の 2 年間の成績が不良であること(同 7%)にも関連していたが,これらの変数との関連性は,自覚を欠いた行動との関連性ほど強くなかった.
この症例対照研究では,医事当局による臨床医の懲戒処分は,医学部での自覚を欠いた行動と強く関連していた.もっとも強い関連が認められた学生は,無責任あるいは自己の行動を改善する能力が低いと記録された者であった.プロ意識は,医学教育課程および医師としてのキャリアを積んでいく中で,中心的な役割を担うべきものである.