健康保険の加入期間に中断期間のある米国の小児
Children in the United States with Discontinuous Health Insurance Coverage
L.M. Olson, S.S. Tang, and P.W. Newacheck
米国で無保険者数を推計する場合,中断期間のある人の数は通常除外される.小児において,保険の中断が外来診療の利用機会および実際の受診に及ぼす影響はほとんど明らかにされていない.
2000 年と 2001 年の米国国民健康調査(National Health Interview Survey)から得た 18 歳未満の小児 26,955 例の標本を解析した.健康保険の加入期間に中断がある小児を,年間を通じて保険に加入していない小児,公的または民間の保険に通年で加入している小児と比較した.
調査前の 12 ヵ月間について,米国の小児の 6.6%が無保険で,さらに 7.7%には保険の中断期間があった.年間を通じて保険(民間または公的)に加入していた小児では,医療ニーズが満たされていない割合は低く,医療機関をよく利用していた(治療の遅れ,不十分な診療,処方を受けられないことを報告する割合は 3%未満で,かかりつけの医療機関がなかった小児は 5%未満).保険加入期間に中断のあった小児と年間を通じて無保険であった小児では,医療機関の利用機会がはるかに少なかった(それぞれ,治療の遅れ,20.2%と 15.9%;不十分な診療,13.4%と 12.6%;処方を受けられない,9.9%と 10.0%;年間を通じて民間保険の被保険者であった小児とのすべての比較において P<0.01).年齢,家族の収入,人種または民族,居住地域,市民権,家族構成,親の職業,健康状態で補正した多変量解析でも,医療機関の利用機会に差があった.通年で民間保険に加入していた小児の両親と比べて,年間を通じて無保険であった小児の両親のほうが治療の遅れを報告する割合がはるかに高く(調整オッズ比 12.65,95%信頼区間 9.45~16.94),無保険の期間があった小児の両親でも同様の傾向がみられた(調整オッズ比 13.65,95%信頼区間 10.41~17.90).
医療保険の加入期間に中断のある小児は,予防健診を含む医療を求める割合と処方を受ける割合が,概して低かった.この知見は研究と政策の双方において重要であり,無保険の状態に関するより包括的で鋭敏な指標の必要性を示している.