August 11, 2005 Vol. 353 No. 6
骨粗鬆症に対する 1 年間の副甲状腺ホルモン(1-84)療法後に行う 1 年間のアレンドロン酸投与
One Year of Alendronate after One Year of Parathyroid Hormone (1-84) for Osteoporosis
D.M. Black and Others
骨粗鬆症治療薬としての副甲状腺ホルモンの投与期間は 2 年以内とされているため,副甲状腺ホルモン療法後に骨吸収抑制薬による治療を行うべきかどうかという問題は重要である.われわれは以前,最大 2 年間の副甲状腺ホルモン(1-84)単独療法,アレンドロン酸単独投与,およびその併用を比較する無作為試験の,1 年目の結果を報告した.この試験を継続する中で,1 年間の副甲状腺ホルモン(1-84)療法後に,増加した骨密度を維持するために骨吸収抑制薬で治療を行う必要があるかどうかを検討した.
今回報告するデータでは,1 年目に副甲状腺ホルモン(1-84)の単独療法(1 日 100 μg)を受けた女性を,プラセボ(60 例)またはアレンドロン酸(59 例)のいずれかをさらにもう 1 年投与する群に,ふたたび無作為に割付けた.1 年目に併用療法を受けた患者は,2 年目にアレンドロン酸投与を受け,1 年目にアレンドロン酸の単独投与を受けた患者は,2 年目もアレンドロン酸投与を継続した.二重エネルギー X 線吸収測定法と定量的コンピュータ断層撮影(CT)を用いて,脊椎および大腿骨頸部の骨密度を評価した.
副甲状腺ホルモン療法後にアレンドロン酸投与を受けた場合,副甲状腺ホルモン療法後にプラセボ投与を受けた場合と比べて,2 年にわたり骨密度が有意に上昇し,その差は,定量的 CT 像で認められた脊椎海綿骨の骨密度で顕著であった(副甲状腺ホルモン-アレンドロン酸群では 31%増加したのに対し,副甲状腺ホルモン-プラセボ群では 14%の増加).2 年目に,プラセボ投与を受けていた患者では骨密度が大幅に減少した.
1 年間の副甲状腺ホルモン(1-84)療法後,増加した骨密度量はアレンドロン酸の投与によって維持または増加するようであるが,副甲状腺ホルモン療法後に骨吸収抑制薬の投与を行わなかった場合には減少するようである.これらの結果は,副甲状腺ホルモン療法終了後の治療選択に対し,臨床的意義をもつ.