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August 18, 2005 Vol. 353 No. 7

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冠血行再建術におけるシロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの比較
Sirolimus-Eluting and Paclitaxel-Eluting Stents for Coronary Revascularization

S. Windecker and Others

背景

シロリムス(sirolimus)溶出ステントとパクリタキセル(paclitaxel)溶出ステントは,何も塗布しない金属ステントと比較して,再狭窄のリスクを減少させる.この 2 種類の薬剤溶出ステントの安全性と有効性の違いについては明らかにされていない.

方 法

経皮的冠動脈形成術を受ける予定の患者 1,012 例を対象に,シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントを比較する無作為対照単盲検試験を実施した.主要エンドポイントは,9 ヵ月までの重大な有害心イベント(心臓が原因の死亡,心筋梗塞,標的病変の虚血による血行再建術)の複合とした.血管造影による追跡検査は,患者 1,012 例中 540 例(53.4%)で行われた.

結 果

ベースラインでの臨床上および血管造影上の特徴は 2 群間で類似していた.9 ヵ月の時点での重大な有害心イベントの割合は,シロリムス溶出ステント群で 6.2%,パクリタキセル溶出ステント群で 10.8%であった(ハザード比 0.56,95%信頼区間 0.36~0.86,P=0.009).この差は,標的病変で血行再建術が行われる頻度が,シロリムス溶出ステント群のほうがパクリタキセル溶出ステント群よりも低いことによるものであった(4.8% 対 8.3%,ハザード比 0.56,95%信頼区間 0.34~0.93,P=0.03).心臓が原因で死亡した割合は,シロリムス溶出ステント群で 0.6%,パクリタキセル溶出ステント群で 1.6%であった(P=0.15).心筋梗塞を起した割合はそれぞれ 2.8%と 3.5%(P=0.49),血管造影で再狭窄が確認された割合はそれぞれ 6.6%と 11.7%であった(P=0.02).

結 論

シロリムス溶出ステントの使用により,パクリタキセル溶出ステントに比べ重大な有害心イベントが減少する.これは主に,臨床上および血管造影上の再狭窄率が減少することによる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 653 - 62. )