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September 8, 2005 Vol. 353 No. 10

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血液中の血管内皮前駆細胞と心血管転帰
Circulating Endothelial Progenitor Cells and Cardiovascular Outcomes

N. Werner and Others

背景

骨髄由来の血管内皮前駆細胞は,血管内皮の統合性を維持していると考えられている.血管内皮前駆細胞の数と機能は心血管危険因子と負の相関を示すが,血液中の血管内皮前駆細胞の予後予測能は明らかにされていない.

方 法

血管造影で冠動脈疾患が確認された患者 519 例を対象に,フローサイトメトリーを用いて,CD34,キナーゼインサートドメイン受容体(kinase insert domain receptor;KDR)陽性の血管内皮前駆細胞の数を測定した.12 ヵ月後,血管内皮前駆細胞のベースライン値と,心血管系が原因の死亡,初回の主要心血管イベント(心筋梗塞,入院,血行再建術,心血管系が原因の死亡)の発生率,血行再建術,入院,全死因死亡との関連を評価した.

結 果

計 43 例が死亡し,うち 23 例は心血管系が原因であった.初回の主要心血管イベントは 214 例で発生した.心血管系が原因の死亡,初回の主要心血管イベント,血行再建術,入院について解析したところ,累積無イベント生存率は,3 段階に分けたベースラインの血管内皮前駆細胞数が増加するに従って,段階的に上昇した.年齢,性別,血管危険因子,および他の関連変数について補正したところ,血管内皮前駆細胞数の増加は,心血管系が原因の死亡(ハザード比 0.31,95%信頼区間 0.16~0.63,P=0.001),初回の主要心血管イベント(ハザード比 0.74,95%信頼区間 0.62~0.89,P=0.002),血行再建術(ハザード比 0.77,95%信頼区間 0.62~0.95,P=0.02),入院(ハザード比 0.76,95%信頼区間 0.63~0.94,P=0.01)のリスクの減少と関連していた.血管内皮前駆細胞数は,心筋梗塞および全死因死亡の予測因子ではなかった.

結 論

血液中の CD34+KDR+血管内皮前駆細胞の数から,心血管イベントおよび心血管系が原因の死亡の発生率が予測され,心血管リスクが高い患者の同定に役立つ可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 999 - 1007. )