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March 9, 2006 Vol. 354 No. 10

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HBeAg 陽性の慢性 B 型肝炎に対するエンテカビルとラミブジンの比較
A Comparison of Entecavir and Lamivudine for HBeAg-Positive Chronic Hepatitis B

T.-T. Chang and Others

背景

エンテカビル(entecavir)は,B 型肝炎ウイルス(HBV)に対して顕著な活性を示す,強力で選択的なグアノシンアナログである.

方 法

この第 3 相二重盲検試験では,これまでにヌクレオシドアナログの投与を受けたことのない B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)陽性の慢性 B 型肝炎患者 715 例を,エンテカビル 0.5 mg またはラミブジン 100 mg を 1 日 1 回,52 週以上投与する群に無作為に割付けた.主要有効性エンドポイントは,48 週の時点での組織学的改善(線維化の悪化を伴わない Knodell 壊死・炎症スコアの少なくとも 2 ポイントの低下)とした.副次的エンドポイントは,血清 HBV DNA 濃度の低下,HBeAg 減少とセロコンバージョン,およびアラニンアミノトランスフェラーゼ値の正常化とした.

結 果

48 週間後の組織学的改善は,エンテカビル群 314 例中 226 例(72%),ラミブジン群 314 例中 195 例(62%)で認められた(P=0.009).エンテカビル群では,ラミブジン群よりも,ポリメラーゼ連鎖反応法による血清 HBV DNA 濃度が検出不可能な患者が多く(67% 対 36%,P<0.001),アラニンアミノトランスフェラーゼ値が正常化した患者が多かった(68% 対 60%,P=0.02).ベースラインから 48 週目までの血清 HBV DNA 減少の平均値は,エンテカビル群のほうがラミブジン群よりも大きかった(6.9 対 5.4 log [底数 10] コピー/mL,P<0.001).HBeAg セロコンバージョンは,エンテカビル群の 21%,ラミブジン群の 18%で認められた(P=0.33).ウイルスのエンテカビル耐性は検出されなかった.安全性は両群で同等であった.

結 論

HBeAg 陽性の慢性 B 型肝炎患者では,組織学的,ウイルス学的,生化学的改善に関して,エンテカビル群のほうがラミブジン群よりも有意に優れていた.両薬剤の安全性プロファイルは同等であり,ウイルスのエンテカビル耐性を示すエビデンスは認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00035633)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1001 - 10. )