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March 23, 2006 Vol. 354 No. 12

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うつ病に対する SSRI 不成功後の併用薬物療法
Medication Augmentation after the Failure of SSRIs for Depression

M.H. Trivedi and Others

背景

臨床医は,最初の抗うつ薬が無効であった場合,第二の薬剤を加えることが多いが,この治療法の有効性を比較した無作為化対照試験は行われていない.

方 法

非精神病性大うつ病性障害の成人外来患者で,平均 11.9 週間のシタロプラム(citalopram)療法(平均最終用量 55 mg/日)で寛解が得られなかった患者 565 例のうち,279 例を徐放性ブプロピオン(bupropion)(最大用量 400 mg/日)併用,286 例をブスピロン(buspirone)(最大用量 60 mg/日)併用に無作為に割付けた.主要転帰は症状の寛解とし,試験終了時に 17 項目のハミルトンうつ病評価尺度(17-item Hamilton Rating Scale for Depression;HRSD-17)のスコアが 7 以下であることと定義した.判定は,割付けられた治療について盲検化された評価者が電話調査により行った.16 項目のうつ症状簡易自己評価項目(16-item Quick Inventory of Depressive Symptomatology ― Self-Report;QIDS-SR-16)を用いて,副次的転帰である寛解(試験終了時のスコアが 6 未満)と奏効(ベースライン時のスコアから 50%以上低下)について判定した.

結 果

徐放性ブプロピオン群とブスピロン群で,HRSD-17 で評価した寛解率(それぞれ 29.7%,30.1%),QIDS-SR-16 で評価した寛解率(39.0%,32.9%),および QIDS-SR-16 で評価した奏効率(31.8%,26.9%)は同等であった.しかし,徐放性ブプロピオン群は,ブスピロン群に比べ,QIDS-SR-16 スコアの低下(ベースライン時から試験終了時まで)が大きく(25.3% 対 17.1%,P<0.04),試験終了時の QIDS-SR-16 スコアが低く(8.0 対 9.1,P<0.02),不耐性による脱落率が低かった(12.5% 対 20.6%,P<0.009).

結 論

実際の臨床の場では,シタロプラムと徐放性ブプロピオンまたはブスピロンとの併用は有効であると考えられる.徐放性ブプロピオンを併用した場合に,症状の数と重症度の減少がより大きく,副作用と有害事象がより少ないなど,一定の優位性が認められる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00021528)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1243 - 52. )