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March 23, 2006 Vol. 354 No. 12

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PCSK9 の配列変異,低 LDL,冠動脈性心疾患の予防
Sequence Variations in PCSK9, Low LDL, and Protection against Coronary Heart Disease

J.C. Cohen and Others

背景

血漿中の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値が低いことは,冠動脈性心疾患(CHD)のリスク低下と関連しているが,血漿 LDL コレステロールが生涯にわたって低いことの効果については知られていない.われわれは,LDL コレステロール値を低下させる DNA 配列の変異が,冠動脈イベントの発生に与える影響を大規模集団で検討した.

方 法

アテローム性動脈硬化のリスクに関する地域研究(Atherosclerosis Risk in Com-munities study)において,CHD(心筋梗塞,致死的 CHD,冠血行再建術)の発生率を,血漿 LDL コレステロール値の低下と関連する遺伝子,プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型セリンプロテアーゼ遺伝子(PCSK9)の配列変異の有無に基づき,15 年間にわたって比較した.

結 果

検討した黒人被験者 3,363 例のうち,2.6%で PCSK9 にナンセンス変異が認められた.これらの変異は,平均 LDL コレステロール値の 28%の低下ならびに CHD リスクの 88%の低下と関連していた(低下について P=0.008,ハザード比 0.11,95%信頼区間 0.02~0.81,P=0.03).検討した白人被験者 9,524 例のうち,3.2%で PCSK9 にナンセンス変異が認められ,これは LDL コレステロール値の 15%の低下ならびに CHD リスクの 47%の低下と関連していた(ハザード比 0.50,95%信頼区間 0.32~0.79,P=0.003).

結 論

これらのデータは,脂質以外の冠血管危険因子を有する割合の高い集団においても,生涯にわたる血漿 LDL コレステロール値の中等度の低下が,冠疾患イベント発生率の大きな低下と関連することを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1264 - 72. )