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March 30, 2006 Vol. 354 No. 13

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A(H5N1)型インフルエンザの不活性化サブビリオンワクチンの安全性と免疫原性
Safety and Immunogenicity of an Inactivated Subvirion Influenza A(H5N1)Vaccine

J.J. Treanor and Others

背景

A(H5N1)型インフルエンザウイルスは,高い発症率,多数の死亡と入院,そして大きな混乱を伴う,深刻な世界的流行を引き起す可能性がある.ヒトにおいて,このようなウイルスに対する有効なワクチンが緊急に必要とされている.

方 法

18~64 歳の健常成人 451 例を対象に,多施設共同二重盲検二段階試験を実施した.被験者を,赤血球凝集素抗原 90 μg,45 μg,15 μg,7.5 μg を含む A(H5N1)型インフルエンザサブビリオンワクチン,またはプラセボを 2 回筋肉内投与する群に,2:2:2:2:1 の割合で無作為に割付けた.安全性解析のため,被験者を 56 日間追跡した.各ワクチン接種前と 2 回目接種の 28 日後に採取した血清サンプルを用いて,マイクロ中和試験と赤血球凝集抑制試験により,H5 抗体検査を実施した.

結 果

すべての用量のワクチンでもっとも多くみられた有害事象は,軽度の注射部位疼痛であった.血清抗体反応は,45 μg 投与と 90 μg 投与の被験者でもっとも多くみられた.90 μg 投与を 2 回受けた被験者では,54%で中和抗体価が 40 倍以上に達し,58%で赤血球凝集抑制抗体価が 40 倍以上に達した.45 μg,15 μg,7.5 μg 投与を 2 回受けた被験者では,それぞれ 43%,22%,9%で中和抗体価が 40 倍以上に達した.プラセボ投与を受けた被験者では反応はみられなかった.

結 論

A(H5N1)型インフルエンザサブビリオンワクチン 90 μg を 2 回投与することで,接種者の大半では,重篤な副作用を引き起すことなく,一般にインフルエンザ予防に関連する中和抗体反応が得られる.従来の H5 型インフルエンザサブビリオンワクチンは,ヒトにおける A(H5N1)型インフルエンザ疾患の予防に,有効である可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00115986)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1343 - 51. )