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April 6, 2006 Vol. 354 No. 14

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急性冠症候群におけるフォンダパリヌクスとエノキサパリンの比較
Comparison of Fondaparinux and Enoxaparin in Acute Coronary Syndromes

The Fifth Organization to Assess Strategies in Acute Ischemic Syndromes Investigators

背景

急性冠症候群患者では,抗凝固薬,抗血小板薬,侵襲的冠動脈手術の併用により虚血性冠動脈イベントが減少するが,出血は増加する.フォンダパリヌクス(fondaparinux)が,エノキサパリン(enoxaparin)の有する抗虚血作用を示し,また,出血を減少させるかどうかを評価した.

方 法

急性冠症候群患者 20,078 例を,フォンダパリヌクス(2.5 mg/日)またはエノキサパリン(1 回 1 mg/kg 体重,1 日 2 回)のいずれかを平均 6 日間投与する群に無作為に割付け,9 日の時点での死亡,心筋梗塞,難治性虚血(主要転帰)を評価した.また,重篤な出血と,主要転帰との組み合せについても評価した.患者は 6 ヵ月まで追跡調査した.

結 果

主要転帰イベントにいたった患者数は 2 群間で同等であり(フォンダパリヌクス群 579 例 [5.8%] 対 エノキサパリン群 573 例 [5.7%],フォンダパリヌクス群のハザード比 1.01,95%信頼区間 0.90~1.13),非劣性基準を満たしていた.複合転帰を満たすイベント数は,フォンダパリヌクス群において,30 日の時点(805 件 対 864 件,P=0.13)と試験終了時点(1,222 件 対 1,308 件,P=0.06)で,有意ではないがより低い値となる傾向を示した.9 日の時点での重篤な出血の割合は,フォンダパリヌクス群のほうがエノキサパリン群よりも顕著に低かった(217 件 [2.2%] 対 412 件 [4.1%],ハザード比 0.52,P<0.001).9 日の時点での主要転帰と重篤な出血の組み合せについては,フォンダパリヌクスのほうが優れていた(737 件 [7.3%] 対 905 件 [9.0%],ハザード比 0.81,P<0.001).フォンダパリヌクスは,30 日の時点(295 例 対 352 例,P=0.02)と 180 日の時点(574 例 対 638 例,P=0.05)で,死亡数の有意な減少と関連していた.

結 論

フォンダパリヌクスは,9 日の時点での虚血性イベントのリスクを減少させるうえでエノキサパリンと同等であるが,重篤な出血を大幅に減少させ,長期にわたって死亡率および合併症の発生率を改善する.

本論文は,2006 年 3 月 14 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1464 - 76. )