April 20, 2006 Vol. 354 No. 16
アテローム血栓性イベントの予防におけるクロピドグレル+アスピリンとアスピリン単独の比較
Clopidogrel and Aspirin versus Aspirin Alone for the Prevention of Atherothrombotic Events
D.L. Bhatt and Others
クロピドグレルと低用量アスピリンの 2 剤併用抗血小板療法は,アテローム血栓性イベントのリスクが高い広範な患者集団では研究されていない.
臨床的に明らかな心血管疾患または複数の危険因子を有する患者 15,603 例を,クロピドグレル(75 mg/日)+低用量アスピリン(75~162 mg/日)を投与する群,またはプラセボ+低用量アスピリンを投与する群に無作為に割付け,その後中央値で 28 ヵ月間追跡した.有効性に関する主要エンドポイントは,心筋梗塞,脳卒中,心血管系の原因による死亡の複合とした.
有効性に関する主要エンドポイントに達した割合は,クロピドグレル+アスピリン群で 6.8%,プラセボ+アスピリン群で 7.3%であった(相対リスク 0.93,95%信頼区間 0.83~1.05,P=0.22).虚血イベントによる入院を含む,有効性に関する主な副次的エンドポイントに達した割合は,それぞれ 16.7%,17.9%であり(相対リスク 0.92,95%信頼区間 0.86~0.995,P=0.04),重篤な出血の発生率は 1.7%,1.3%であった(相対リスク 1.25,95%信頼区間 0.97~1.61,P=0.09).複数の危険因子を有する患者で主要エンドポイントに達した割合は,クロピドグレル群で 6.6%,プラセボ群で 5.5%であり(相対リスク 1.2,95%信頼区間 0.91~1.59,P=0.20),心血管系の原因による死亡の発生率もクロピドグレル群のほうが高かった(3.9% 対 2.2%,P=0.01).臨床的に明らかなアテローム血栓を有する患者のサブグループでは,主要エンドポイントに達した割合は,クロピドグレル群で 6.9%,プラセボ群で 7.9%であった(相対リスク 0.88,95%信頼区間 0.77~0.998,P=0.046).
この試験では,クロピドグレルの投与により,症候性のアテローム血栓を有する患者において有益性が示唆され,複数の危険因子を有する患者では有害性が示唆された.全体として,クロピドグレル+アスピリンの併用は,心筋梗塞,脳卒中,心血管系の原因による死亡の発生率を低下させるうえで,アスピリン単独よりも有意に有効ではなかった. (ClinicalTrials.gov 番号:NCT00050817)
本論文は,2006 年 3 月 12 日 www.nejm.org で発表された.