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May 4, 2006 Vol. 354 No. 18

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血清総ビリルビン値が 25 mg/dL 以上の新生児の転帰
Outcomes among Newborns with Total Serum Bilirubin Levels of 25 mg per Deciliter or More

T.B. Newman and Others

背景

新生児の血清総ビリルビン高値に関連する神経発達上のリスクは,十分に明らかにされていない.

方 法

1995~98 年に北カリフォルニアの Kaiser Permanente 関連病院で,満期産またはほぼ満期産で生まれた乳児 106,627 例のコホートから,新生児期の血清総ビリルビン値が 25 mg/dL(428 μmol/L)以上であった乳児 140 例を同定し,対照 419 例を無作為に抽出した.転帰に関するデータは,電子カルテ,面接,質問票への回答,盲検下で行われた神経発達評価から入手した.

結 果

高ビリルビン血症の新生児のビリルビン最高値は,130 例で 25~29.9 mg/dL(511 μmol/L)であり,10 例で 30 mg/dL(513 μmol/L)以上であった.治療は,136 例で光線療法,5 例で交換輸血を実施した.高ビリルビン血症の既往歴のある小児 140 例中 132 例(94%)と対照 419 例中 372 例(89%)から,少なくとも 2 歳までの追跡データを入手できた.このうち,82 例(59%)と 168 例(40%)で正式な評価を実施した.評価時の平均(±SD)年齢は 5.1±0.12 歳であった.核黄疸症例は認められなかった.認知機能検査のスコアには,未補正でも補正後でも,両群で有意差は認められなかった.ほとんどの検査で,高ビリルビン血症群において,補正スコアの 95%信頼区間に 3 点(0.2 SD)の低下はみられなかった.身体診察による神経学的異常所見,または神経学的異常に関する診断記録が認められた小児の割合に,両群間で有意差はみられなかった.神経学的検査で「疑わしい」所見または異常所見が認められた小児は,高ビリルビン血症群で 14 例(17%),対照群で 48 例(29%)であった(P=0.05,補正オッズ比 0.47,95%信頼区間 0.23~0.98,P=0.04).親の懸念および行動上の問題に関する報告の頻度についても,両群間に有意差は認められなかった.高ビリルビン血症群において,直接抗グロブリン試験で陽性を示した小児は認知機能検査のスコアが低かったが,神経学的な問題や行動上の問題は多くはなかった.

結 論

光線療法あるいは交換輸血による治療を実施した場合,この研究の対象範囲内の血清総ビリルビン値は,満期産またはほぼ満期産で生まれた乳児において神経発達上の有害転帰と関連しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1889 - 900. )