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May 25, 2006 Vol. 354 No. 21

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臓器移植によるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスの伝播
Transmission of Lymphocytic Choriomeningitis Virus by Organ Transplantation

S.A. Fischer and Others

背景

2003 年 12 月と 2005 年 4 月に,固形臓器移植レシピエントにおいて,感染症を示唆する徴候と症状が発現した.診断のための評価で明らかにならなかったため,2 つのクラスターを調査したところ,それぞれに共通するドナー 1 例がいることが明らかになった.

方 法

原因を特定するため,ドナー 2 例とレシピエント 8 例から得た臨床検体を,ウイルス培養,電子顕微鏡検査,血清学的検査,分子解析,免疫組織化学染色による病理組織検査で検討した.臨床経過の特徴と疾患の原因を明らかにするため,面接調査,環境評価,診療録の再調査を含む疫学調査を行った.

結 果

臨床検査により,レシピエント全員からリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)が検出され,各クラスターで,LCMV の特有の株が 1 つ同定された.各クラスターの調査で,臓器ドナーから LCMV は検出されなかった.2005 年のクラスターでは,ドナーは,レシピエントで検出された LCMV 株と同一の株に感染したペットのハムスターと自宅で接触していたが,2003 年のクラスターでは,LCMV の感染源は明らかにならなかった.レシピエントは,移植後 3 週間以内に,腹痛,精神の変調,血小板減少,アミノトランスフェラーゼ上昇,凝固障害,移植片機能不全,発熱または白血球増加を示した.下痢,切開部周囲の皮疹,腎不全,発作の頻度にはばらつきがあった.レシピエント 8 例のうち,7 例が移植後 9~76 日で死亡した.1 例は,リバビリンの投与と強度を抑えた免疫抑制療法を受け生存した.

結 論

臓器移植によって LCMV 感染が伝播した 2 群を確認した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2235 - 49. )