The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 29, 2006 Vol. 354 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

初回血管形成術における N-アセチルシステインと造影剤腎症
N-Acetylcysteine and Contrast-Induced Nephropathy in Primary Angioplasty

G. Marenzi and Others

背景

初回血管形成術を受ける急性心筋梗塞患者は,血行動態が不安定で,多量の造影剤を必要とするが,有効な予防法がないため造影剤腎症のリスクが高い.われわれは,初回血管形成術を受ける患者において,造影剤腎症を予防するための抗酸化薬 N-アセチルシステインについて検討した.

方 法

初回血管形成術を受ける連続症例 354 例を,次の 3 群に無作為に割付けた.116 例を標準用量 N-アセチルシステイン投与(初回血管形成術前に 600 mg を静脈内ボーラス投与し,血管形成術後 48 時間にわたって 600 mg を 1 日 2 回経口投与),119 例を 2 倍用量 N-アセチルシステイン投与(1,200 mg を静脈内ボーラス投与し,血管形成術後 48 時間にわたって 1,200 mg を 1 日 2 回経口投与),119 例をプラセボ投与に割付けた.

結 果

血清クレアチニン値は,対照群の 39 例(33%),標準用量 N-アセチルシステイン投与群の 17 例(15%),高用量 N-アセチルシステイン投与群の 10 例(8%)において,初回血管形成術後にベースラインよりも 25%以上上昇した(P<0.001).院内死亡率は全体で,造影剤腎症患者のほうが,造影剤腎症のない患者よりも高かった(26% 対 1%,P<0.001).対照群では 13 例(11%)が死亡したのに対し,標準用量 N-アセチルシステイン群では 5 例(4%),高用量 N-アセチルシステイン群では 3 例(3%)であった(P=0.02).死亡,一時的な腎透析療法を必要とする急性腎不全,人工換気の必要性から成る複合エンドポイントの割合は,3 群でそれぞれ 21 例(18%),8 例(7%),6 例(5%)であった(P=0.002).

結 論

N-アセチルシステインの静脈内投与と経口投与は,初回血管形成術を受けた患者の造影剤腎症を用量依存的に予防し,院内転帰を改善する可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00237614)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2773 - 82. )