The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 5, 2006 Vol. 354 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

卵巣癌におけるシスプラチンとパクリタキセルの腹腔内投与
Intraperitoneal Cisplatin and Paclitaxel in Ovarian Cancer

D.K. Armstrong and Others

背景

新たに診断された卵巣癌に対する標準的化学療法は,白金製剤とタキサン系薬剤の併用投与である.婦人科腫瘍学グループ(Gynecologic Oncology Group)は,III 期卵巣癌患者において,パクリタキセル+シスプラチンの静脈内投与と,パクリタキセルの静脈内投与+シスプラチンとパクリタキセルの腹腔内投与とを比較する無作為化第 3 相試験を実施した.

方 法

III 期卵巣癌または原発性腹膜癌で,術後に 1.0 cm を超える腫瘍の残存がない患者を,パクリタキセル(135 mg/体表面積 m2)を 24 時間静脈内投与後,2 日目にシスプラチン(75 mg/体表面積 m2)を静脈内投与する群(静脈内投与群),または 2 日目にシスプラチン(100 mg/体表面積 m2),8 日目にパクリタキセル(60 mg/体表面積 m2)を腹腔内投与する群(腹腔内投与群)に無作為に割付けた.治療は 3 週間ごとに 6 サイクル行った.QOL を評価した.

結 果

無作為化された患者 429 例中,415 例が適格であった.グレード 3~4 の疼痛,疲労,および血液,消化管,代謝,神経に対する毒性作用は,静脈内投与群よりも腹腔内投与群で多くみられた(P≦0.001).腹腔内投与群の患者で割付けられた治療を 6 サイクル完了したのは 42%のみであったが,無増悪生存期間の中央値は静脈内投与群で 18.3 ヵ月,腹腔内投与群で 23.8 ヵ月であった(P=0.05,log-rank 検定).全生存期間の中央値は,静脈内投与群で 49.7 ヵ月,腹腔内投与群で 65.6 ヵ月であった(P=0.03,log-rank 検定).QOL は,腹腔内投与群の 4 サイクル目の前と,治療後 3~6 週間に有意に悪化したが,治療から 1 年後にそのような傾向はみられなかった.

結 論

適切な腫瘍縮小が得られた III 期卵巣癌患者では,パクリタキセルの静脈内投与+シスプラチンとパクリタキセルの腹腔内投与により,パクリタキセル+シスプラチンの静脈内投与に比べ生存期間が改善する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 34 - 43. )