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March 2, 2006 Vol. 354 No. 9

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ナタリズマブ投与患者における進行性多巣性白質脳症の評価
Evaluation of Patients Treated with Natalizumab for Progressive Multifocal Leukoencephalopathy

T.A. Yousry and Others

背景

ナタリズマブ(natalizumab)投与を受けた患者 3 例において,進行性多巣性白質脳症(PML)の発症が報告された.われわれは,ほかの投与患者にも PML が発症しているかどうかを検討するため,評価を行った.

方 法

臨床試験に参加し,多発性硬化症,クローン病,関節リウマチに対して,最近または長期間ナタリズマブ投与を受けた患者に参加を呼びかけた.専門家委員会は,患者の PML を評価する目的で,病歴,身体診察,脳磁気共鳴画像法(MRI),JC ウイルス DNA の脳脊髄液検査を行った.PML に対する臨床検査を少なくとも 1 つ受けたか,MRI を受けた患者において,PML のリスクを推定した.

結 果

臨床試験に参加し,最近ナタリズマブ投与を受けた患者 3,417 例中,月 1 回の投与を平均 17.9 回受けた 3,116 例(91%)を対象に,PML の評価を行った.これらの患者のうち,PML の可能性を示す臨床所見,MRI 異常,血漿中 JC ウイルス量の増加のいずれかが認められた 44 例を,専門家委員会に紹介した.脳脊髄液中に JC ウイルス DNA が検出された患者はいなかった.PML は,44 例中 43 例で除外されたが,多発性硬化症と神経疾患の進行が認められた患者 1 例では,脳脊髄液検査と追跡調査時の MRI のデータが入手できなかったため,除外できなかった.PML が確認されたのは,すでに報告されていた 3 例のみであった(投与患者 1,000 例中 1.0 例;95%信頼区間,1,000 例中 0.2~2.8 例).

結 論

ナタリズマブ投与患者で PML の可能性があった症例に詳細な再評価を行ったところ,新たな PML 症例は認められなかった.PML のリスクは,ナタリズマブ投与を平均 17.9 ヵ月間受けた患者で,1,000 例中約 1 例であることが示唆された.より長期間の投与に関連するリスクについては不明である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 924 - 33. )