September 14, 2006 Vol. 355 No. 11
初回経皮的冠動脈インターベンションにおけるパクリタキセル溶出性ステントと非コーティングステントの比較
Paclitaxel-Eluting versus Uncoated Stents in Primary Percutaneous Coronary Intervention
G.J. Laarman and Others
薬剤溶出性冠動脈ステントにより再狭窄が減少するため,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に追加手技が必要となる可能性が低下することが示されている.ST 上昇を伴う急性心筋梗塞に対して PCI を受けた患者において,薬剤溶出性ステントの使用を評価した.
ST 上昇を伴う急性心筋梗塞患者 619 例を,パクリタキセル溶出性ステントと非コーティングステントに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,1 年後の時点での心臓が原因の死亡,心筋梗塞再発,標的病変に対する血行再建術施行の複合とした.
ベースラインにおける両群の臨床特性と血管造影上の特性は,よく一致していた.パクリタキセルステント群では,非コーティングステント群よりも重篤な有害事象の発生率が低い傾向があった(8.8% 対 12.8%,補正相対リスク 0.63,95%信頼区間 0.37~1.07,P=0.09).パクリタキセルステント群では,非コーティングステント群と比べて,心臓が原因の死亡または心筋梗塞再発の発生率(5.5% 対 7.2%,P=0.40),標的病変の血行再建術施行率(5.3% 対 7.8%,P=0.23)において,有意ではないものの有利な傾向がみられた.1 年間の追跡期間中のステント血栓症の発生率は,両群で同じであった(1.0%).
ST 上昇を伴う急性心筋梗塞に対するパクリタキセル溶出性ステントの使用により,非コーティングステントと比べて 1 年後の重篤な有害な心イベントの発生率が 4.0%ポイント低下したが,統計学的に有意ではなかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN65027270)