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September 28, 2006 Vol. 355 No. 13

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黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検とリンパ節の経過観察の比較
Sentinel-Node Biopsy or Nodal Observation in Melanoma

D.L. Morton and Others

背景

新たに黒色腫と診断された患者において,センチネルリンパ節生検が転帰に及ぼす効果を評価した.

方 法

原発性皮膚黒色腫患者を,広範囲切除後に所属リンパ節の経過観察を行い,リンパ節再発が認められた場合にリンパ節切除を行う群(観察群)と,広範囲切除と同時にセンチネルリンパ節生検を行い,リンパ節微小転移巣が検出された場合はただちにリンパ節切除を行う群(生検群)に無作為に割り付けた.

結 果

中等度の厚さの原発性黒色腫患者 1,269 例において,5 年無病生存率の平均(±SE)は推定で,生検群で 78.3±1.6%,観察群で 73.1±2.1%であった(死亡のハザード比 0.74,95%信頼区間 [CI] 0.59~0.93,P=0.009).5 年黒色腫特異的生存率は,両群間で同等であった(それぞれ 87.1±1.3%,86.6±1.6%).生検群では,センチネルリンパ節転移の有無はもっとも重要な予後因子であり,センチネルリンパ節が腫瘍陽性の患者の 5 年生存率は 72.3±4.6%であったのに対し,センチネルリンパ節が腫瘍陰性の患者では 90.2±1.3%であった(死亡のハザード比 2.48,95% CI 1.54~3.98,P<0.001).生検群のセンチネルリンパ節微小転移巣の検出率は 16.0%(764 例中 122 例)であり,観察群のリンパ節再発率は 15.6%(500 例中 78 例)であった.腫瘍が検出されたリンパ節の平均数が生検群で 1.4 個,観察群で 3.3 個であったことから(P<0.001),観察期間中の疾患進行が示唆される.リンパ節転移患者の 5 年生存率は,ただちにリンパ節切除を受けた患者のほうが,あとからリンパ節切除を受けた患者よりも高かった(72.3±4.6% 対 52.4±5.9%,死亡のハザード比 0.51,95% CI 0.32~0.81,P=0.004).

結 論

センチネルリンパ節生検の結果に基づいて中等度の厚さ(1.2~3.5 mm)の原発性黒色腫の病期診断を行うことで,予後に関する重要な情報が得られる.また,この手法により,リンパ節切除をただちに行うことで生存期間が延長する可能性のある,リンパ節転移患者を特定することができる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00275496)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1307 - 17. )