November 2, 2006 Vol. 355 No. 18
進行腫瘍を発見するための結腸直腸癌スクリーニングにおける大腸内視鏡検査
Colonoscopy in Colorectal-Cancer Screening for Detection of Advanced Neoplasia
J. Regula and Others
結腸直腸癌スクリーニングの勧告は,年齢と癌の家族歴のみに基づいており,性別には基づいていない.
40~66 歳の 50,148 例を対象に行った,大腸内視鏡検査による大規模なスクリーニングプログラムのデータの横断的解析を実施した.40~49 歳の被験者については,なんらかの癌の家族歴があった場合のみ適格とした.結腸直腸癌の家族歴を報告したのは,50~66 歳の 43,042 例の 13.3%と,40~49 歳の 7,106 例の 66.3%であった.進行腫瘍は,癌,または直径 10 mm 以上,高度の異形成,絨毛状・腺管絨毛状の組織学的特徴のいずれかあるいはそれらの組み合せを有する腺腫と定義した.多変量ロジスティック回帰分析を用いて,一次(導出)データセットにおいて被験者の特徴と進行腫瘍との関連を特定し,二次(検証)データセットにおいてその関連を確認した.
進行腫瘍は,50~66 歳の 2,553 例(5.9%)と 40~49 歳の 243 例(3.4%)で検出された.大腸内視鏡検査の合併症の発生率は 0.1%で,死亡例はなかった.検証データセットでは,ロジスティック回帰モデルにより,男性であることは,進行腫瘍と独立して関連することが示された(補正オッズ比 1.73,95%信頼区間 1.52~1.98,P<0.001).それぞれの年齢群(40~49 歳,50~54 歳,55~59 歳,60~66 歳)では,進行腫瘍を 1 つ発見するために大腸癌スクリーニングを受けなければならない人数は,男性のほうが女性よりも有意に少なかった(それぞれ 23 対 36,17 対 28,12 対 22,10 対 18).
男性では,女性よりも有意に高い割合で進行腫瘍が発見されたことから,大腸癌スクリーニングの勧告を改良する必要があると考えられる.