The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 20, 2006 Vol. 355 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

先天性の吸収不良性下痢におけるニューロジェニン 3 変異
Mutant Neurogenin-3 in Congenital Malabsorptive Diarrhea

J. Wang and Others

背景

ニューロジェニン 3(NEUROG3)は,内分泌前駆細胞に発現し,膵臓や腸における内分泌細胞の発生に必要とされる.したがって,NEUROG3 遺伝子(NEUROG3)は,全般性吸収不良ならびに腸内分泌細胞の不足を特徴とする,最近発見された常染色体劣性遺伝性疾患の原因候補である.

方 法

NEUROG3 変異について,腸内分泌細胞をわずかしかもたない,互いに血縁関係のない患者 3 例のゲノム DNA をスクリーニングした.その後,観察された変異に,NEUROG3 の機能を変化させる能力があるかどうかを,in vitro アッセイならびに in vivo アッセイを用いて検討した.

結 果

患者にはクロモグラニン A 陽性の腸内分泌細胞はほとんど存在しなかったが,パネート細胞,杯細胞,吸収細胞の数は正常であった.NEUROG3 に 2 つのホモ変異を同定したが,その変異はいずれも,NEUROG3 の下流の標的分子,NEUROD1 に対する NEUROG3 蛋白の活性能を失わせ,NEUROD1 プロモータの E-box エレメントへの NEUROG3 の結合能を損なわせた.アフリカツメガエルの胚内へ,変異型ではないが野生型の NEUROG3 メッセンジャー RNA を注入したところ,NEUROD1 発現が誘導された.

結 論

新たに発見された吸収不良性下痢と腸内分泌細胞の欠如を特徴とする疾患は,NEUROG3 の機能喪失変異が原因である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 270 - 80. )