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August 3, 2006 Vol. 355 No. 5

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院外心停止における蘇生中止基準の検証
Validation of a Rule for Termination of Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

L.J. Morrison and Others

背景

院外心停止時の一次救命処置における蘇生努力の中止について,自動体外除細動器の使用訓練を受けた救急救命士(EMT)のための臨床的予測基準を前向きに評価した.基準では,心拍再開がない場合や電気ショックが行われていない場合,救急隊員によって心停止が目撃されていない場合に蘇生中止を推奨している.そのほかの場合は,通常の慣例に従って病院への搬送を推奨している.

方 法

この研究は,カナダ・オンタリオ州の 24 の救急医療システムで行われた.心原性と考えられる心停止で,自動体外除細動器の使用訓練を受けている EMT の処置を受けた,18 歳以上の患者全例を組み入れた.患者は標準的ガイドラインに沿った治療を受けた.予測基準に対する診断検査の特性を算出した.これらの特性には,感度,特異度,陽性適中率・陰性適中率が含まれている.

結 果

1,240 例の患者すべてで追跡データが得られた.基準により蘇生中止が推奨された心停止患者 776 例のうち,4 例が生存した(0.5%).基準は,生存者の救急部への搬送を推奨することに対する特異度は 90.2%,蘇生中止が推奨された場合の死亡に対する陽性適中率は 99.5%であった.この基準を用いることで,搬送率が 100%から 37.4%へと低下した.ほかの判定基準(応答までの時間が 8 分を超える場合や,心停止が第三者により目撃されていない場合)を加えることで,基準の特異度ならびに陽性適中率はさらに改善されると考えられるが,病院へ搬送される患者の割合が高くなると考えられる.

結 論

蘇生中止に関する臨床的予測基準を用いることは,院外心停止患者に対する一次救命処置において,医師が蘇生努力を中止するか否かを決定するさいの助けとなるであろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 478 - 87. )