March 15, 2007 Vol. 356 No. 11
心筋梗塞による週末入院と平日入院における死亡率の比較
Weekend versus Weekday Admission and Mortality form Myocardial Infarction
W.J. Kostis and Others
急性心筋梗塞の管理には迅速な診断と治療が求められるが,週の中で一様に行われていない可能性がある.
心筋梗塞データ入手システム(Myocardial Infarction Data Acquisition System)を用いて,初回の急性心筋梗塞のため週末に入院した患者と平日に入院した患者における死亡率の差を調査した.1987~2002 年のニュージャージー州におけるこれらの入院例すべて(231,164 例)を組み入れ,4 年ごとの期間に区分した.
人口統計学的特徴,合併症,梗塞部位について,週末に入院した患者と平日に入院した患者のあいだで有意差は認められなかった.しかし,週末に入院した患者は侵襲的手技を受ける可能性が低く,とくに入院の 1 日目と 2 日目で低かった(P<0.001).1999~2002 年の期間(入院 59,786 例)では,週末に入院した患者のほうが 30 日目の死亡率が有意に高かった(12.9% 対 12.0%,P=0.006).その有意差は入院の翌日に認められ(3.3% 対 2.7%,P<0.001),1 年後も持続した(死亡率における絶対差 1%).30 日目の死亡率は,人口統計学的特徴,合併症,梗塞部位で補正後も依然として有意差を示したが(ハザード比 1.048,95%信頼区間 [CI] 1.022~1.076,P<0.001),侵襲的手技でさらに補正すると有意差はみられなくなった(ハザード比 1.023,95% CI 0.997~1.049,P=0.09).
心筋梗塞患者では,週末の入院に伴い死亡率が上昇し,侵襲的手技の施行率が減少する.この知見は,週末に死亡率が高くなるのは侵襲的手技の低い施行率が原因の一部であることを示唆しており,週末における医療の利用機会を向上させることによって急性心筋梗塞患者の転帰を改善できると考えられる.