喘息と慢性閉塞性肺疾患におけるインバリアントナチュラルキラー T 細胞
Invariant Natural Killer T Cells in Asthma and Chronic Obstructive Pulmonary Disease
P. Vijayanand and Others
喘息患者の気道では,2 型ヘルパー CD4+T 細胞の数が増加する.これらの細胞の大部分が主要組織適合複合体(MHC)クラス II 拘束性細胞であるのか,あるいは最近同定された CD1d 拘束性インバリアントナチュラルキラー T 細胞であるのかは,議論の分かれる点である.気道中のインバリアントナチュラルキラー T 細胞の数と疾患の重症度との関連の可能性を検討するため,軽度~中等度の喘息患者において,気道中のインバリアントナチュラルキラー T 細胞の発現頻度を調べた.また,これらの細胞数の増加が,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特徴であるのかどうかも調べた.
軽度~中等度の喘息患者,COPD 患者,健常対照者から得られた気管支肺胞洗浄液,誘発喀痰,気管支生検の検体において,α-ガラクトシルセラミドを負荷した CD1d テトラマーとインバリアントナチュラルキラー T 細胞受容体に特異的な抗体を用いたフローサイトメトリーにより,インバリアントナチュラルキラー T 細胞の数を調べた.インバリアントナチュラルキラー T 細胞受容体の遺伝子発現の証拠を得るため,リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法で気管支肺胞洗浄細胞を解析した.
気道生検,気管支肺胞洗浄,喀痰誘発を行ったすべての患者から得られた T 細胞のうち,インバリアントナチュラルキラー T 細胞は 2%未満であり,3 群間で有意差は認められなかった.喘息患者の気管支肺胞洗浄細胞において,インバリアントナチュラルキラー T 細胞受容体ドメイン Vα24 と Vβ11 のメッセンジャー RNA の発現は検出されなかった.
インバリアントナチュラルキラー T 細胞は,喘息患者,COPD 患者,対照者の少数で検出された.