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May 17, 2007 Vol. 356 No. 20

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軽症喘息に対する 1 つの吸入器によるベクロメタゾンとアルブテロールのレスキュー使用
Rescue Use of Beclomethasone and Albuterol in a Single Inhaler for Mild Asthma

A. Papi and Others

背景

軽症持続型喘息の患者に対し,治療ガイドラインでは吸入副腎皮質ステロイドの反復投与が推奨されている.症状に応じて 1 つの吸入器で二プロピオン酸ベクロメタゾンとアルブテロール(サルブタモールとしても知られる)を併用投与する方法が,ベクロメタゾン吸入剤の反復投与と同様に有効かどうか,またアルブテロール吸入剤の頓用よりも優れているかどうかを検討した.

方 法

6 ヵ月にわたる二重盲検ダブルダミー無作為化並行群間試験を実施した.4 週間の導入期間後,軽症喘息の患者を以下の 4 種類の吸入療法のいずれかに無作為に割り付けた:プラセボ 1 日 2 回に加え,1 つの吸入器でベクロメタゾン 250 μg+アルブテロール 100 μg を頓用(頓用併用療法);プラセボ 1 日 2 回に加え,アルブテロール 100 μg を頓用(頓用アルブテロール療法);ベクロメタゾン 250 μg を 1 日 2 回+アルブテロール 100 μg を頓用(ベクロメタゾン反復療法);1 つの吸入器によるベクロメタゾン 250 μg+アルブテロール 100 μg の 1 日 2 回投与に加え,アルブテロール 100 μg を頓用(反復併用療法).主要転帰は,朝の最大呼気流量とした.

結 果

1 秒量が 2.96 L(予測値の 88.36%)であった軽症喘息患者 455 例では,頓用併用療法群は,頓用アルブテロール療法群よりも,6 ヵ月の治療期間の最後の 2 週間の朝の最大呼気流量が多く(P=0.04),6 ヵ月の治療期間中の増悪件数が少なかった(P=0.002)が,頓用併用療法群と,ベクロメタゾン反復療法群や反復併用療法群とのあいだに有意差は認められなかった.ベクロメタゾン吸入剤の累積投与量は,頓用併用療法群でベクロメタゾン反復療法群や反復併用療法群よりも少なかった(いずれも P<0.001).

結 論

軽症喘息患者では,1 つの吸入器でベクロメタゾン吸入剤(250 μg)とアルブテロール吸入剤(100 μg)を症状に応じて投与する方法は,ベクロメタゾン吸入剤(250 μg を 1 日 2 回)の反復投与と同様に有効であり,この投与により 6 ヵ月間の吸入副腎皮質ステロイド薬の累積投与量が少なくなる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00382889)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 2040 - 52. )