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January 4, 2007 Vol. 356 No. 1

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ペットのげっ歯類と関連する多剤耐性 Salmonella enterica 血清型 Typhimurium
Multidrug-Resistant Salmonella enterica Serotype Typhimurium Associated with Pet Rodents

S.J. Swanson and Others

背景

米国では,年間推定 140 万件のサルモネラ感染症が発生する.これらの感染の大部分は食物が原因であるが,動物との接触によるものも多い.2004 年 8 月,Salmonella enterica の血清型で,パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)で他の血清型と識別不可能な Typhimurium の分離株が,ミネソタ州のペット卸業者のハムスター 8 匹から得られた.ヒトでのサルモネラ症例を,このげっ歯類由来株と関連付けることが可能かどうか判定するための研究を行った.

方 法

ペットのげっ歯類と関連する可能性がある S. enterica 血清型 Typhimurium によるヒト感染例を特定するため,National Molecular Subtyping Network for Foodborne Disease Surveillance に提出されたサルモネラの PFGE パターンを検討した.分離株がハムスター由来株と一致する患者に対し,ペットのげっ歯類との接触について面接を行った.関連が示唆されたげっ歯類については,ペットショップ,卸業者,飼育業者を突き止めた.

結 果

2003 年 12 月~2004 年 9 月に発症した患者 28 例において,ハムスター由来株と一致する S. enterica 血清型 Typhimurium 分離株を同定した.面接した 22 例中(小児の場合はその親と面接),10 州の 13 例(59%)がペットのハムスター,マウス,ラットとの接触を報告し,2 例(9%)は二次感染であった.げっ歯類との一次接触または二次接触を報告したこれら 15 例の年齢の中央値は 16 歳で,うち 6 例(40%)が入院した.10 州で,7 社の卸業者から供給を受けている関連ペットショップ 13 軒が特定された.げっ歯類の単一の感染源は特定されなかった.S. enterica 血清型 Typhimurium の集団発生株は,患者のペットのマウスとペットショップのハムスター 7 匹から培養された.近縁の S. enterica 血清型 Typhimurium 分離株が,ペット卸業者のげっ歯類飼育カゴと再利用型輸送コンテナから培養された.ヒト分離株,げっ歯類分離株,環境分離株は,アンピシリン,クロラムフェニコール,ストレプトマイシン,スルフイソキサゾール,テトラサイクリンに耐性を示した.

結 論

ペットのげっ歯類は,あまり認識されていないものの,ヒトにおけるサルモネラ感染源であると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 21 - 8. )