腹圧性尿失禁を減少させるための Burch 法と筋膜スリング法の比較
Burch Colposuspension versus Fascial Sling to Reduce Urinary Stress Incontinence
M.E. Albo and Others
腹圧性尿失禁の女性に実施可能な外科手技は多数あるが,それらを推奨する根拠となる無作為化臨床試験はほとんど行われていない.
腹圧性尿失禁の女性を対象として,自家腹直筋膜を用いた恥骨腟スリング法と Burch 法(恥骨後式膀胱頸部挙上術)の 2 つの手技を比較する多施設共同無作為化臨床試験を行った.適格例は,この病態による主症状を呈し,ストレス検査が陽性で,尿道の過可動性を示した女性とした.主要転帰は,尿失禁の全般的評価における成功(パッドテスト陰性,3 日間の日誌に尿失禁の記録がないこと,咳およびバルサルバ負荷検査陰性,自覚症状の報告がないこと,この病態に対する再治療を受けていないこと),および腹圧性尿失禁に特異的な評価における成功(最後の 3 項目のみ)とした.また,術後切迫性尿失禁,排尿障害,有害事象についても評価を行った.
計 655 例の女性のうち,326 例をスリング法,329 例を Burch 法に無作為に割り付けた.転帰評価は 520 例(79%)で終了した.24 ヵ月の時点で,スリング法群の女性では,Burch 法群の女性と比較して,全般的な項目(47% 対 38%,P=0.01)と腹圧性尿失禁に特異的な項目(66% 対 49%,P<0.001)のいずれについても成功率が高かった.しかしながら,スリング法による手術を受けた女性では,尿道感染,排尿困難,術後切迫性尿失禁が多くみられた.
自家筋膜を用いたスリング法では,Burch 法と比べて,腹圧性尿失禁の治療において高い成功率が得られたが,同時に合併症の発生率も高かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00064662)