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June 7, 2007 Vol. 356 No. 23

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副腎皮質癌に対するミトタンによるアジュバント療法
Adjuvant Mitotane Treatment for Adrenocortical Carcinoma

M. Terzolo and Others

背景

副腎皮質癌はまれな腫瘍であり,根治術後の再発リスクが高いことを特徴とする.ミトタンの投与がアジュバント療法として有益であるかどうかには議論の余地がある.われわれの目的は,無再発生存期間の延長に関して,アジュバント療法としてのミトタンの有効性を評価することであった.

方 法

イタリアの 8 施設およびドイツの 47 施設で 1985~2005 年に根治術を受けた副腎皮質癌患者 177 例を対象に,後ろ向き分析を行った.イタリア人患者 47 例(ミトタン群)は根治術後にアジュバント療法としてミトタン投与を受けたが,イタリア人患者 55 例とドイツ人患者 75 例(対照群 1,2)は術後にアジュバント療法を受けなかった.

結 果

ミトタン群とイタリアの対照群のベースライン特性に差はなかったが,ドイツ人患者は,ミトタン群の患者よりも有意に年齢が高く(P=0.03),I 期または II 期の副腎皮質癌の患者が多かった(P=0.02).無再発生存期間は,ミトタン群のほうが 2 つの対照群よりも有意に長かった(無再発生存期間の中央値 42 ヵ月に対し,対照群 1 では 10 ヵ月,対照群 2 では 25 ヵ月).再発のハザード比は,対照群 1 で 2.91(95%信頼区間 [CI] 1.77~4.78,P<0.001),対照群 2 で 1.97(95% CI 1.21~3.20,P=0.005)であった.多変量解析によると,ミトタン投与は無再発生存期間に関して有意に優れていた.ミトタンと関連する有害事象は主にグレード 1 または 2 であったが,患者の 13%で一時的な用量減量が必要となった.

結 論

副腎皮質癌の根治術を受けた患者に対しミトタンをアジュバント療法として投与すると,無再発生存期間が延長する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 2372 - 80. )