慢性膵炎で膵管拡張が認められる患者には，膵管減圧術が推奨される．無作為化試験を実施し，膵管の内視鏡的ドレナージと外科的ドレナージを比較した．

本研究では，慢性膵炎で膵管の遠位閉塞が認められるが，炎症性腫瘤がない有症状患者すべてを適格とした．患者を，膵管の膨大部横断型内視鏡的ドレナージを受ける群と膵管空腸吻合術を受ける群に無作為に割り付けた．主要エンドポイントは，2 年間の追跡期間中の平均イズビッキ疼痛スコア（Izbicki pain score）とした．副次的エンドポイントは，追跡期間終了時の疼痛緩和，身体的および精神的健康，合併症の発生率，死亡率，入院期間，受けた処置の数，膵機能の変化とした．

39 例を無作為化し，19 例を内視鏡的治療群（うち 16 例は結石破砕術を受けた），20 例を膵管空腸吻合術群に割り付けた．24 ヵ月の追跡期間中，手術を受けた患者は，内視鏡的治療を受けた患者よりもイズビッキ疼痛スコアが低く（25 点 対 51 点，P＜0.001），36 項目の健康調査票（Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form General Health Survey；SF-36）の身体的健康に関する総スコアが高かった（P＝0.003）．追跡期間終了時に完全または部分的な疼痛緩和が得られたのは，内視鏡的ドレナージ群の患者では 32%であったのに対し，外科的ドレナージ群の患者では 75%であった（P＝0.007）．合併症の発生率，入院期間，膵機能の変化は両群で同程度であったが，内視鏡的治療を受けた患者は，外科的治療を受けた患者よりも多くの処置を必要とした（中央値 8 件 対 3 件，P＜0.001）．

慢性膵炎による膵管閉塞を有する患者では，膵管の外科的ドレナージが内視鏡的ドレナージよりも有効であった．（Current Controlled Trials 番号：ISRCTN04572410）