地域医療センターにおける慢性疾患管理の改善
Improving the Management of Chronic Disease at Community Health Centers
B.E. Landon and Others
米国保健資源事業局(Health Resources and Services Administration;HRSA)の医療格差に関する共同研究(Health Disparities Collaboratives)は,少数民族・少数人種の患者や保険未加入者が多数治療を受けている地域医療センターにおいて,医療を改善するためにデザインされた.
糖尿病,喘息,高血圧患者の治療について,質改善共同研究(HRSA が助成している医療格差に関する共同研究)に参加している地域医療センターを対象に,対照群を設定した介入前・介入後研究を実施した.共同研究に参加している 44 の介入センターと共同研究に参加していない 20 のセンター(外部対照センター)から,患者 9,658 例を登録した.ほかの条件については,各介入センターを内部対照として用いた.質の測定値は,各医療センターの診療録から抽出した.すべての適用可能な測定値から得られたスコアの標準化と平均化により,全体的な質スコアを作成した.質の変化は,患者背景で補正した階層的回帰モデルを用いて評価した.
全体で,介入センターでは,外部対照センターや内部対照センターに比べ,喘息患者と糖尿病患者の医療の質の複合測定値に大幅な改善が認められたが,高血圧患者に関しては認められなかった.外部対照センターと比較して,介入センターでは,糖尿病患者に対する足の診察が 21%増加するなど,予防およびスクリーニングの指標が有意に改善し,また,喘息に対する抗炎症薬の使用が 14%増加,糖化ヘモグロビン検査が 16%増加するなど,疾患治療およびモニタリングの指標にも有意な改善が認められた.しかし,評価した中間転帰(喘息に対する応急手当や入院,糖尿病に対する糖化ヘモグロビン値のコントロール,高血圧に対する血圧コントロール)には,いずれも改善がみられなかった.
医療格差に関する共同研究により,検討した 3 つの疾患のうち 2 つの疾患で治療過程が有意に改善した.今回検討した臨床転帰には改善はみられなかった.