The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 27, 2007 Vol. 357 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

抗 MICA 抗原抗体と腎移植拒絶反応
Antibodies against MICA Antigens and Kidney-Transplant Rejection

Y. Zou and Others

背景

腎移植では,HLA-A,HLA-B,HLA-DR の適合性が高くても,拒絶反応が絶対に起こらないわけではない.HLA が適合していても移植腎機能不全が起こる場合があることから,別の抗原が拒絶反応の標的である可能性が示唆されている.主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラス I 関連鎖 A(MICA)抗原には,多型性があり,抗体産生を惹起しうる.われわれは,MICA 抗原に対する免疫応答が移植腎不全に関与しているかどうかの検討を試みた.

方 法

死体ドナーから腎移植を受けたレシピエント 1,910 例から移植前に採取した血清検体について,1 つの型の MICA 抗原を結合させたポリスチレン微粒子を用いた定量法を用いて,抗 MICA 抗体の検査を行った.

結 果

MICA の対立遺伝子に対する抗体は,1,910 例中 217 例(11.4%)で検出された.抗 MICA 抗体の存在は移植腎の拒絶反応と関連していた.移植腎の 1 年生着率の平均(±SE)は,抗 MICA 抗体を有しない患者で 93.0±0.6%であったのに対し,抗 MICA 抗体を有する患者では 88.3±2.2%であった(P=0.01).初回腎移植を受けたレシピエントにおける生着率は,抗 MICA 抗体陰性例(93.5±0.6%)よりも抗 MICA 抗体陽性例(87.8±2.4%)のほうが低かった(P=0.005).それに加えて,MICA への感作と生着率低下との関連は,HLA の適合性が高い腎移植レシピエントにおいてより明確に認められた.すなわち,適合性の高い腎臓(HLA-A,HLA-B,HLA-DR の不適合の合計が 0 または 1 つ)の移植を受けた 326 例では,MICA 抗原に対する感作は,移植腎のより不良な生着率と関連していた(抗 MICA 抗体保有者で 83.2±5.8%,同抗体非保有者で 95.1±1.3%,P=0.002).

結 論

腎移植レシピエントにおける MICA 抗原に対する前感作は,移植腎廃絶の頻度の増加に関連しており,HLA の適合性の高いレシピエントで起こる移植腎廃絶に関与している可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1293 - 300. )