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July 12, 2007 Vol. 357 No. 2

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カナダで葉酸添加後にみられた神経管欠損症の減少
Reduction in Neural-Tube Defects after Folic Acid Fortification in Canada

P. De Wals and Others

背景

カナダでは,歴史的にみて,神経管欠損症の有病率が西部諸州よりも東部諸州で高く,1998 年に多様な穀類製品に対して葉酸添加が義務付けられた.カナダにおける,葉酸添加前後の神経管欠損症の有病率の変化を評価した.

方 法

研究対象集団には,1993~2002 年にカナダ 7 州に在住していた女性の生児出産,死産,胎児奇形による妊娠中絶を含めた.赤血球葉酸濃度の検査結果に関する報告に基づいて,研究期間を,添加前期間,部分的添加期間,全体的添加期間に分けた.各州における神経管欠損症のベースライン有病率と添加後の減少の程度との関連を評価した.

結 果

190 万件の出生において,計 2,446 例の神経管欠損症児が記録された.神経管欠損症の有病率は,添加前期間に出生 1,000 件あたり 1.58 例であったのが,全体的添加期間中には出生 1,000 件あたり 0.86 例となり,46%減少した(95%信頼区間 40~51).減少の程度は,各州における添加前のベースライン有病率に比例し,添加開始後には地理的な差はほぼみられなくなった.観察された有病率の減少は,二分脊椎(53%の減少)が,無脳症(38%の減少)や脳ヘルニア(31%の減少)よりも大きかった.

結 論

カナダにおける食品への葉酸添加は,神経管欠損症の有病率の有意な減少と関連していた.その減少の程度は,ベースラインの有病率が高かった地域でもっとも大きかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 135 - 42. )