October 11, 2007 Vol. 357 No. 15
スコットランド西部冠動脈疾患予防研究の長期追跡調査
Long-Term Follow-up of the West of Scotland Coronary Prevention Study
I. Ford and Others
スコットランド西部冠動脈疾患予防研究(West of Scotland Coronary Prevention Study)は,心筋梗塞の既往のない高コレステロール血症の男性を対象にプラバスタチンとプラセボを比較し,平均約 5 年間追跡調査を行った無作為化臨床試験である.治療群では,確定的な冠動脈疾患による死亡,および確定的な非致死的心筋梗塞の複合転帰が,7.9%から 5.5%に低下した(P<0.001).試験終了後約 10 年間の延長追跡調査データを入手した.
電子化された国の記録照合システムを用い,試験の生存者を対象に,すべての死亡;冠動脈イベント・脳卒中による入院と死亡;偶然発見された癌と癌による死亡を追跡した.イベント発生までの時間分析にて,Cox 比例ハザードモデルを用いて結果を解析した.
試験終了から 5 年後,最初のスタチン群の 38.7%とプラセボ群の 35.2%がスタチン療法を受けていた.試験終了後約 10 年間の冠動脈疾患による死亡と非致死的心筋梗塞のリスクは,プラセボ群で 10.3%,プラバスタチン群で 8.6%であり(P=0.02),追跡期間全体におけるその割合は,プラセボ群で 15.5%,プラバスタチン群で 11.8%であった(P<0.001).冠動脈疾患による死亡と冠動脈イベントが原因の入院を組み合わせた割合にも,両期間で同程度の低下がみられた.追跡期間全体にわたって心血管系の原因による死亡率は低下し(P=0.01),全死因死亡率も低下した(P=0.03).心血管系以外の原因による死亡の増加や,致死的な癌,偶然に発見される癌の増加はみられなかった.
この分析では,5 年間のプラバスタチン療法により,心筋梗塞の既往のない高コレステロール血症の男性において,その後 10 年間の冠動脈イベントの有意な減少がみられた.