October 11, 2007 Vol. 357 No. 15
米国の小児に提供されている外来診療の質
The Quality of Ambulatory Care Delivered to Children in the United States
R. Mangione-Smith and Others
小児に提供される医療の質の不備の程度については,これまで包括的研究がなされていないためほとんど知られていない.
小児外来患者に推奨されている診療処置が,どの程度実施されているのかを評価した.質の指標は,RAND/UCLA 修正デルファイ法(RAND–UCLA modified Delphi method)を用いて作成した.12 の大都市圏から無作為に選択された小児患者 1,536 例の両親は,研究への登録日以前の 2 年間に児の診察を行った全医師から診療録を入手することに関して,文書によるインフォームドコンセントを提出した.訓練を受けた看護師がこれらの診療録をまとめた.質の複合指標は,適応となる診療がオーダーされた,または提供されたことが記録された回数を,診療処置が適応となる回数で除して算出した.
診療録のデータによると,対象となった患児が受けたのは,平均して,適応となる診療の 46.5%(95%信頼区間 [CI] 44.5~48.4)であった.急性疾患では適応となる診療の 67.6%(95% CI 63.9~71.3),慢性疾患では適応となる診療の 53.4%(95% CI 50.0~56.8)であった.また,適応となる予防医療については 40.7%(95% CI 38.1~43.4)であった.質は診療領域によって異なり,適応となる診療の遵守率は,上気道感染では 92.0%(95% CI 89.9~94.1),青年に対する予防医療では 34.5%(95% CI 31.0~37.9)と幅があった.
小児に提供される医療の質における不備は,成人に関して以前に報告されたものと同程度であるとみられる.これらの明らかな不備を減らす戦略が必要である.