October 25, 2007 Vol. 357 No. 17
2 型糖尿病に対する経口療法への二相性インスリン,食前インスリン,または基礎インスリンの追加
Addition of Biphasic, Prandial, or Basal Insulin to Oral Therapy in Type 2 Diabetes
R.R. Holman and Others
2 型糖尿病に対する経口療法にインスリンを追加することは,血糖コントロールが不十分な場合に一般的であるが,特定のインスリンレジメンを支持するエビデンスは限られている.
多施設共同非盲検対照試験において,メトホルミンとスルホニル尿素の最大許容量の投与を受けていながらも糖化ヘモグロビン値が至適ではない(7.0~10.0%)患者 708 例を,二相性インスリンアスパルト製剤の 1 日 2 回投与,食前のインスリンアスパルト製剤の 1 日 3 回投与,基礎持続型インスリン製剤の 1 日 1 回投与(必要な場合は 2 回)のいずれかに無作為に割り付けた.1 年の時点での転帰評価項目は,平均糖化ヘモグロビン値,糖化ヘモグロビン値が 6.5%以下の患者の割合,低血糖の発生率,体重増加とした.
1 年の時点で,平均糖化ヘモグロビン値は,二相性インスリン群(7.3%)と食前インスリン群(7.2%)で同等であったが(P=0.08),基礎インスリン群ではより高かった(7.6%,両比較について P<0.001).糖化ヘモグロビン値が 6.5%以下の患者の割合は,それぞれ 17.0%,23.9%,8.1%であった.患者 1 例あたりの低血糖イベントの平均発生数/年は,それぞれ 5.7 件,12.0 件,2.3 件であった.体重増加の平均値は,それぞれ 4.7 kg,5.7 kg,1.9 kg であった.有害事象の発生率は,3 群間で同等であった.
単一のインスリンアナログ製剤をメトホルミンとスルホニル尿素に追加することで,少数の患者において,1 年の時点での糖化ヘモグロビン値が 6.5%以下となった.二相性または食前のインスリンアスパルト製剤の追加は,基礎持続型インスリン製剤の追加と比べて糖化ヘモグロビンの値を低下させたが,低血糖や体重増加のリスクの増加と関連した.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN51125379)
本論文(10.1056/NEJMoa075392)は,2007 年 9 月 21 日に www.nejm.org で発表された.