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November 1, 2007 Vol. 357 No. 18

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経口フッ化ピリミジン系薬剤 S-1 を用いた胃癌に対する補助化学療法
Adjuvant Chemotherapy for Gastric Cancer with S-1, an Oral Fluoropyrimidine

S. Sakuramoto and Others

背景

経口フッ化ピリミジン系薬剤である S-1 は進行胃癌に奏効する.治癒切除術が施行された胃癌患者に対する補助化学療法として,S-1 の有用性について検討した.

方 法

日本における標準術式である D2 リンパ節郭清を伴った胃切除術を施行したステージ II または III の胃癌患者を,術後に S-1 による補助療法を行う群と,手術単独群に無作為に割り付けた.S-1 群において,S-1 投与は術後 6 週間以内に開始し,1 年間継続投与した.治療レジメンは原則として,S-1 80 mg/m2/日を 4 週間経口投与し,その後 2 週間休薬する計 6 週間のコースを繰り返し行った.主要エンドポイントは全生存期間とした.

結 果

2001 年 10 月~2004 年 12 月までに 529 例を S-1 群に,530 例を手術単独群に無作為に割り付けた.登録終了 1 年後に実施された第 1 回中間解析において,S-1 群が手術単独群よりも高い全生存率を示した(P=0.002)ことから,効果・安全性評価委員会の勧告に基づいて試験は中止された.追跡調査データの解析から,3 年全生存率は S-1 群で 80.1%,手術単独群で 70.1%であった.S-1 群の手術単独群に対する死亡のハザード比は 0.68(95%信頼区間 0.52~0.87,P=0.003)であった.S-1 群で比較的多くみられたグレード 3 または 4 の有害事象(米国国立癌研究所の共通毒性基準に基づく)は,食欲不振(6.0%),悪心(3.7%),下痢(3.1%)であった.

結 論

S-1 は,局所進行胃癌に対して D2 郭清を施行された東アジア人患者に対する効果的な補助療法である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00152217)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1810 - 20. )