November 15, 2007 Vol. 357 No. 20
医学部における特許取得の分析
The Anatomy of Medical School Patenting
P. Azoulay, R. Michigan, and B.N. Sampat
大学附属医療機関の教員による特許取得にかかわる問題は,さまざまな議論を呼ぶ原因となっているが,特許取得活動の増加,各学科における分布,教員の研究への取組みとの関連について,体系的な裏付けはほとんどなされていない.
医学部の教員,米国国立衛生研究所(NIH)の特許付与,および特許取得に関するデータをプールし,1981~2000 年に申請され,後に許可された特許申請の傾向の変化,学科ごとの分布の変化,特許取得と個々の教員に関連する変数との関係の変化を検討した.これらの変数は,性別,学位,最終学位取得後の年数,学科の同僚による特許取得,NIH による助成歴などであった.基本的な記述統計に加え,これらの変数に応じて,1 人の教員が申請した特許数に基づくポアソン回帰モデルを推定した.
医学部の教員 1 人あたりの,後に許可された特許の申請数は,1981~2000 年のあいだに著しく増加した.特許取得活動の大多数は臨床医学の教員により行われていたが,その取得率は基礎医学の教員に比べて低かった.回帰分析の結果,特許取得率は,最近 NIH の助成を受け,男性であり,博士号を有し,在職年数が長く,特許取得率の高い学科に勤務している場合により高いことが示された.
1981~2000 年に医学部の教員に付与された特許数は著しく増加したが,特許取得活動は少数の学科と教員に集中していた.さらに,最近 NIH の助成を受けた人は,受けていない人に比べて特許申請を行う傾向が強かった.