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December 6, 2007 Vol. 357 No. 23

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ディーゼル車の排出ガスへの曝露が喘息患者の呼吸器に与える影響
Respiratory Effects of Exposure to Diesel Traffic in Persons with Asthma

J. McCreanor and Others

背景

道路交通による大気汚染は健康に深刻な危険をもたらし,すでに呼吸器疾患を有する患者のリスクを高めると考えられる.われわれは,喘息患者を対象に,都市の沿道でディーゼル車の排出ガスへの短期曝露がもたらす影響を検討した.

方 法

軽症または中等症の喘息をもつ成人 60 例を募集し,無作為化クロスオーバー研究を行った.各参加者はロンドンのオックスフォード通り(Oxford Street)を 2 時間歩き,別の機会に近隣のハイドパーク(Hyde Park)内を 2 時間歩いた.詳細な曝露量測定,生理学的測定,免疫学的測定をリアルタイムで行った.

結 果

微粒子(空気力学的直径<2.5 μm),超微粒子,元素状炭素,二酸化窒素への曝露量は,ハイドパーク内よりもオックスフォード通り沿道のほうが有意に高かった.オックスフォード通りを 2 時間歩いた場合,症状は現れなかったが,1 秒量(FEV1)および努力肺活量(FVC)には一致する低下がみられ(最大低下はそれぞれ 6.1%,5.4%),これはハイドパーク内での曝露後の FEV1 と FVC の低下よりも有意に大きかった(曝露による全体的影響としてそれぞれ P=0.04,P=0.01;一定の時点で P<0.005).影響は,軽症例よりも中等症例のほうが大きかった.これらの変化に伴って,好中球性炎症のバイオマーカーの上昇(喀痰中ミエロペルオキシダーゼは,ハイドパーク内での曝露後 4.24 ng/mL であったのに対し,オックスフォード通りでの曝露後は 24.5 ng/mL;P=0.05),および気道の酸性化(pH の最大低下は,ハイドパーク内での曝露後 0.04%であったのに対し,オックスフォード通りでの曝露後は 1.9%;P=0.003)もみられた.これらの変化ともっとも一致する関連がみられたのは,超微粒子と元素状炭素への曝露であった.

結 論

われわれの観察結果は,ディーゼル車の排出ガスへの曝露量と喘息患者の肺機能を関連付ける疫学的エビデンスを裏付け,説明するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2348 - 58. )